ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Morris S-121SP

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Morris S-121SP
北海道にお住まいのT.S.さんからMorris S-121SPのリペアご依頼をいただき、フレットすりあわせと弦周りのTUSQ化を行いました。
T.S.さんからは以前にK.Yairi YW-1000のリペアご依頼をいただいており、今回で2本目のギターリペアとなります。T.S.さん、いつもありがとうございます。
リペア後のギターを受け取られてT.S.さんからとても温かいメッセージが届きました。

樋口さん

リペアをお願いしていたギターが届きました。

早々、ギターのチューニングをした瞬間から合わせやすさに驚きました。
リペア前は1f~3fでの演奏は押さえにくさを感じていたのですが、本当に押さえやすくなり、弾きやすくなり 音のバランスの良さに感動しています。

実はリペア前のギターの音を録音していたのですがリペア後の音と比べるのを辞めました。
素人目でもはっきり、違いを実感できたので。

今回も樋口さんにリペアをお願いして良かったです。
次のギターも樋口さんにおねがいします。
細かな連絡を下さり、安心してリペアをお願いしてよかった一つの事でした。
ありがとうございました。

T.S.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回もリペア前後でギターの演奏性、音響特性に大きな改善が見られて、リペア後の試奏では本来のギターの音色を心ゆくまで楽しませていただきました。
ご満足いただけて私もとても嬉しい気持ちでいっぱいです。

これからも本来の姿を取り戻したギターとともに素晴らしいギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1. オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて取り外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.完成したブリッジとサドルです。