ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Martin O-18K(1926年製)

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神奈川県にお住まいのG.I.さんからMartin O-18KとMartin 2-17のリペアご依頼をいただきました。両ギターとも1920年代製造のギターで、おそらく同一人物による改造が施された形跡が見られ、リペア前はとても悲惨な状況でした。1926年製Martin O-18Kはネックリセット、ブリッジ交換などを含むトータルリペアを行いました。リペア後のギターを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ 樋口様

無事に手元に届きました。感動です!!

たった一枚の朽ち果てそうなこのギターの写真を送って、このギターに関心を持ってもらい、想像以上のリペアをして頂き感謝する限りです。
当初、手に入れた時はMARTIN 2-17との情報のまま購入し、樋口さんの調査のおかげでこれがO-18Kだと判明したとき、正直ビックリしました(笑)
2-17と信じ込んでましたから。
また、このギターの特徴であるハワイアン・コア材の雰囲気の復活も想像以上に仕上がっていて驚きました。

軽く弾いてみて思ったことは、当たり前ですがやはりMartinなんだなって事です。
もちろん、色々なギターには特色があると思いますが、Martin特徴であるバランスが良く、そしてとても繊細な雰囲気はこのギターにも共通してると思いました。当初、このギターはとても弾ける状態ではなかったのでリペア前の音色との比較はできませんが、爪弾いてみても、ストロークを弾いてみても納得の音です。

詳細なビフォア・アフターを見せて頂いて、このギターリペアの困難さが見て取れました。あらためて樋口さんのギターへの愛情に感謝する次第です。
当初、お話したこのギターを今後100年先でも使えるようなリペアをお願いしたのは間違ってなかったと思いました。

もう一台、2-17のリペアも継続して頂いてます。このギターもO-18Kと同じかそれ以上のトラブルを抱えていますが何卒、樋口さんの愛情で復活させてあげてください。よろしくお願いします。

季節も冬に向かいますのでお身体、御自愛くださいませ。
今後とも末永いお付き合いをさせて頂くことを願いまして、
あらためまして、ありがとうございました。

G.I.さん、Martin O-18Kが無事にお手元に届いたとの、ご連絡をいただき、ありがとうございました。
また、とても暖かいメッセージを拝読させていただいて、私もホッと安心するとともに、とても嬉しく思っています。

G.I.さんから今回のリペアのお話しを頂戴したとき、どこまで修復できるものか不安はありましたが、きっとギターは再び音色を奏でる人に巡り会えることを望んでいるような予感を感じておりました。

リペア前のギターの状態を拝見したとき、不安はさらに募る一方で、ギターの発する、かすかな鼓動を感じたことも事実です。

リペアを行っている間は不安と期待の交錯の連続でしたが、リペア後のギターに弦を張ったとき、 不安は全く消え去り、期待を大きく上回る素晴らしい音色を奏でてくれるようになりました。

リペア完了後、ギターを発送する前日の夜まで、O-18Kの音色を心ゆくまで堪能させていただいた次第です。
今回、このような貴重な経験を与えていただいたことに、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

Martin 2-17の修理(というよりも「修復」というべきでしょうか?)は継続して行っております。
私自身も再び不安と期待の中、とても楽しい毎日を過ごしております(笑)。
次は1920年代のマホガニの音色を蘇らせたいと思っています。

今しばらく、お時間をいただきますが、引き続きよろしくお願いいたします。

ギターの状態確認

1.リペア前のギターです。
2.テイルピースが取り付けられています。

リペア前のギター状態確認の様子です。


こちらはリペア完了後のギターです。


3.ピックガードはネジ止めされています。
4.ブリッジは割れており、サドルは銅棒が挟まれています。

5.ネック元起きも非常に顕著です。
6.ジョイント部を拡大しました。12フレット弦高が5mm以上あります。

7.こちらはリペア後(ネックリセット後)のネックジョイント部です。
8.リペア後の弦高は1.8mmに調整し、演奏性が向上しました。

9.ボディ右下部の破損跡です。トップ板が浮き、バインディングが欠損しています。
10.サイドに割れも見られます。

11.こちらはトップ板下部分です。割れが広がっており、経年変化で両側がめくれ上がっている状態になっています。
12.フレット(バーフレット)も消耗が大きい状態です。

ネックリセット

1.リペア前のネックとフィンガーボードです。ネック元起きにより弦高が異常に高くなっています。
2.ブリッジ割れが見られ、サドルも改造されているのでネックリセットと共にブリッジ交換も行います。

3.ネックポケットへのアクセスホールを空けるため、13フレットを外します。
4.フレット溝を傷つけないようにハンダゴテで暖めながらゆっくりと抜いていきます。

5.15フレット溝の奥にあるネックポケット(ネックとボディの接合スペース)にドリルで貫通穴を開けます。
6.ラバーヒーターを使ってフィンガーボードを暖めます。(フレット交換を行いますので、20フレットまで外しています)

ネックポケットへのアクセスホールを空けている様子です。


7.ヒーターを当て木でクランプします。
8.ヒーターに通電します。フィンガーボードの温度をモニタしながら徐々に温度を上げていきます。

9.そのまま数分間置いた後、ナイフを差し込んでいきます。接着剤が熱で軟化しているのがわかります。
10.13フレット下部分までナイフが入りました。フィンガーボードとボディの取り外しが完了です。次にネックの取り外しを行いましょう。

フィンガーボード分離の様子です。


11.ネックは蒸気ではずします。まず専用のジグを取り付けます。
12.ジグ取り付けが完了しました。

13. 蒸気発生用のエスプレッソメーカーにホースと蒸気注入ジグを取り付けます。
14.15フレットの穴に先端を差し込んで蒸気を発生します。かなりの高温蒸気が発生しますので、ギターと体へのやけどには要注意です。

ネック取り外しの様子です。


15.ダブテイル・ネックジョイントがはずれました。
16.ジグを取り外してジョイント部に残った古い接着剤(ニカワ)をクリーニングしましょう。

別角度から見たネック取り外しの様子です。


17.蒸気の熱と湿り気が残っている間に古い接着剤(ニカワ)を削り落としておきます。
18.ネック側にも接着剤が残っていますので、クリーニングします。

ネックジョイント部をクリーニングしている様子です。


19.ネックヒール部です。マスキングテープを貼り、この部分の微妙な高さを目安に作業を進めていきます。
20.ヒール部分を削っていきます。

21.目標のヒール高が削り出せました。これに合わせてネック接合部を調整加工していきます。
22.ネック接合部を削っていきます。フィンガーボード側(右)は削らず、ヒール部(左)だけに傾斜を持たせるように加工していきます。

23.同様に反対側も切削加工を行います。少しずつ慎重に削っていきます。
24.ヒール先端部はよく研いだノミで削ります。

25.ボディとフィンガーボード接合部をサンディングブロックで平坦にしておきます。
26.ボディ側ネックスロットの外側にマスキングテープを貼ってボディを保護します。

27.ネックとボディの間にサンドペーパー挟みます。
28.ネックをボディに密着させながらサンドペーパーを抜き取ります。

29.1弦側と6弦側の両方を行います。このとき両サイドの引き抜き回数を覚えておきます。
30.ネック取り付けの直線性を確認します。直線けがき線の入ったアクリル板をネックからブリッジにかけて乗せます。

ネックヒール部を調整している様子です。


31.ナット部分センター位置にケガキ線を合わせます。
32.ブリッジ部分も同様にセンター位置にケガキ線を合わせます。

33.さらにネックとボディの接合部(12フレット)のセンター位置にケガキ線が乗っていることを確認します。
34.ネック接合の準備が完了しました。

ネックとボディの直線性と取り付け角度を確認している様子です。


35.HideGlue(膠:ニカワ)をフィンガーボード裏とネック接合部に塗っていきます。
36.接着剤が均一になるようにヘラでのばしていきます。

37.ネックとボディを接合します。ゆっくりジョイント部にネックを置きます。
38.クランプと当て木でネックを固定し、あふれ出た接着剤をふき取っていきます。

ネックを再接合している様子です。


別角度からの様子です。


ネックとボディの接合を確認している様子です。


39.マスキングテープをはがします。
40.このまま固着を待ちましょう。

ブリッジ交換(新規作製)

1.オリジナルブリッジです。テイルピースが取り付けられるなどの改造が見られます。
2.ブリッジは割れていますので新規作製して交換を行います。

3.ブリッジはすでに外れていました。
4.ボディのブリッジ接着面は過去のリペアの接着剤が固く固着しています。

5.接着面をクリーニングします。
6.エボニーブランクです。オリジナルブリッジを参考に新しいブリッジを削り出していきましょう。

7.ピン穴加工用のジグを取り付けました。
8.ピン穴を開け終えました。

9.両サイドのスロープ加工を行いました。
10.さらに上下の丸みをつけました。

11.ブリッジピン穴の傾斜加工を終えました。
12.新しいブリッジ削り出しを終えました。接着を行いましょう。

13.接着面周囲をマスキングテープで保護しました。
14.湯煎したニカワを接着面に塗ります。

15.接着面全体に薄く塗っていきます。
16.そっとブリッジを乗せます。

17.クランプしています。
18.クランプで溢れたニカワを拭き取っていきます。

ブリッジ接着の様子です。


19.マスキングテープを剥がします。
20.このまま固着を待ちます。

21.固着後のブリッジです。
22.サドル溝を加工していきましょう。

23.サドル位置を書き写すためにマスキングテープを2重に貼ります。
24.サウンドホールにチューナー、ブリッジにイントネーターを取り付けます。

25.ピッチ調整を行い、イントネーターでサドル山位置を確認していきます。
26.サドル山位置をマスキングテープに書き込んでいきます。

27.サドル山位置を確定します。
28.弦高測定によって目標サドル高も記録しておきます。

29.溝位置とサドル山ピーク位置を別々に記録しておきます。
30.サドル溝加工ジグを取り付けました。

31.トリマの位置決めを行っています。
32.サドル溝加工を行っています。

サドル溝加工を行っている様子です。


33.マスキングテープをはがします。
34.サドル溝加工を終えました。サドル作製工程へ移りましょう。

ボディリペア

トップ板割れ・浮き

1.トップ板下部分です。
2.大きく割れが発生しており、経年変化によりトップ板がめくり上がっている状態です。
3.ボディ中から見た割れ部分です。ブレイシングも浮いています。
4.割れ部分とブレイシング浮き部分にタイトボンドを流し込んでジャッキで固定します。

5.ボディ外部からはクランプでトップ板を固定します。
6.トップ板の浮き上がりは左右からクランプ固定します。

7.固着後のトップ板です。フラットな状態に戻りました。
8.Xブレイシング下部分にも浮きが見られますので、接着補強します。

9.隙間にボンドを流し込んだ後、クランプで固定します。
10.Xブレイシング両方のリペアを行いました。

トップボトム部

1.サイド・ボトム部です。
2.過去の破損跡が残っており、指で押すと凹みます。

3.割れはボディ内部まで達しています。
4.割れ部分に接着剤を流し込んで固着させます。

5.この部分はトップ板にも浮きが見られますので、こちらもボンドを流し込んで固定します。
6.クランプで固定して固着を待ちます。

バインディング

1.上記のボトム部のトップ板側のバインディングも破損しており、パーツも欠損しています。
2.バインディングスロットに残ったゴミや破損片をすべて取り除きます。

3.オリジナルに近いバインディング材を切り出しました。
4.厚みを削り出しました。

5.バインディング欠損部に切り出した材を置いてみます。
6.ベンディングアイロンを使ってバインディング材をボディ外周に合わせてアールをつけていきます。

7.少しずつ曲げていきます。
8.3本のバインディング材がピッタリはまるように曲げていきます。

9.接着しましょう。
10.テープで固定して固着を待ちます。

11.こちらはバック側のサイドバインディングです。同じようにしてバインディング材を切り出して曲げます。
12.こちらも接着剤をつけてテープで固定します。

トップ・サイドのボディ・バインディングを作製している様子です。


固着後のバインディングを整形している様子です。


バック・サイドのボディ・バインディングを作製している様子です。


13.補修後のトップ・サイドです。
14.こちらはバック・サイド部です。ほとんど目立たなくなりました。

ブリッジプレート・リペア

1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。弦のエンドポールが食い込んでしまう状態になっています。
2.メイプル材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。

埋木用プラグを切り出している様子です。


3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。
4.プラグの中央に小穴を開けます。位置決めのためにポンチで凹みを入れています。

5.小穴があいたプラグです。まだ材に固定されています。
6.切り出し終えたプラグたちです。

7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。

9.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
10.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。

11.1弦の凹み加工を終えたブリッジプレートです。
12.同様にして3,5弦の凹み加工も行いました。

13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。
14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。

15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。
16.1弦のプレート凹み部分にプラグを接着しました。小ネジは少し引き上げてプラグを固定した後、緩めとります。

17.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。
18.アクリル板を挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。

19.1,3,5弦のプラグ固着後、同じように2,4,6弦のプラグ接着を行います。
20.6弦すべてのプラグ接着を終えました。

21.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
22.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。

ブリッジピン穴を空けている様子です。


23.プラグにブリッジピン穴を開けました。
24.弦を張りました。エンドポールがプレートの上にしっかり固定されています。

フレット交換(バーフレット)

1.オリジナル・バーフレットです。
2.弦との接触摩耗の深さが激しいので全フレット交換を行います。

3.フィンガーボードを保湿した後、フレットを半田ごてで暖め、木繊維を緩めます。
4.半田ごてで暖めながらフレットを抜き取ります。

フレットを抜いている様子です。


5.フィンガーボード・ディボット跡です。
6.フレット抜き取り後のフィンガーボードです。このままでは演奏性に問題が残るので埋木処理を行います。

7.エボニーペーストをディボット部に埋めました。
8.ペースト固着後、フィンガーボードのアールにあったサンディングブロックでサンディングします。

9.ディボット修復跡です。
10.修復跡はほとんど目立たなくなりました。

11.フレット交換の前にフィンガーボードにあけた穴を元に戻しましょう。穴径にあうようにエボニー片を丸く削ります。
12.ドリル穴にエボニー材を押し込み、フィンガーボードを傷つけないように出た部分をカットします。

13.溝幅に合わせてのこぎりで切れ込みを入れます。
14.穴埋め加工が終わった15フレット溝です。

15.フィンガーボードの平面性を確認します。
16.軽くサンディングします。

17.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
18.フレット溝底が平坦でない箇所はクリーニングソーでならしていきます。

19.削りかすやゴミをクリーニングします。
20.フィンガーボードの準備は整いました。次にフレットの準備に取りかかりましょう。

21.バーフレットです。
22.フレット底面に凹凸が見られますのでヤスリで平坦にしておきましょう。

23.平坦になったフレット底面です。
24.フレット底面が平らになったフレットの束です。

25.こちらは、まだ凹凸が残っているフレット上面部です。
26.バーフレットを溝に軽く乗せて、

27.フィンガーボードより少し大きめにカットします。
28.カットしたフレット端です。

29.断面をヤスリで整形しました。
30.反対側の断面も整形します。この時点でフレットの長さはフィンガーボード幅よりも約0.5mm大きくなっています。

31.さらにフレット上端部に丸み加工を加えます。
32.フレット溝に取り付けてみて長さと形状を確認します(この段階ではまだ一番奥まで打ち込まず、すぐに抜ける程度で大きさを確認します)。

33.この要領ですべてのフレットの準備加工を行いましたので、フレットプレスを行いましょう。
34.カットしたフレット片は失わないようにまとめて廃棄します。

35.第一のフレットプレス・ジグです。
36.先端ビット(フラット)をジグのプレス部に固定します。

37.ジグをサウンドホールから入れていきます。
38.ハンドルを回してフレットをプレスします。
39.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
40.2つ目のジグはこのように固定します。

41.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
42.順にプレスを進めていきます。

43.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
44.すべてのフレット打ち込みが終わりました。

フレットプレスの様子です。


45.専用のヤスリを使ってフレット端を整形します。
46.さらにフレット上面を粗く整形します。

フレット上面の高さ調整の様子です。


47.フレット上部にバリが多くみられますので、
48.フレットエンド・ドレッシングファイルでバリを取っていきます。

49.バーフレット打ち込みを終えました。
50.次に弦高調整前段階のすりあわせ工程に写りましょう。

フレット端整形の様子です。


51.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
52.ボディもアクリル板でカバーしました。

53.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
54.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

55.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
56.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

57.さらにスチールウールで研磨を進めます。
58.最後はコンパウンドで磨き上げます。

59.プロテクタ類を外しましょう。
60.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1. オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

7.サドル高の切り出しを終えました。
8.サドル上部にピーク位置を書き写します。

9.サドルピーク位置を削りだしていきます。
10.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

11.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
12.ブリッジピン穴加工を終えました。

13.ロングサドル・エッジスロープの加工を行います。
14.半丸ヤスリでスロープを粗く削り取ります。

15.ブリッジ面をマスキングテープで保護します。
16.粗削りを行ったサドルを取り付けました。

17.ミニルーターに円錐ビットを取り付けて少しずつブリッジ面に合うようサドルスロープを低くしていきます。
18.ルーター加工を終えたところです。マスキングテープを少しこするところで止めました。

ロングサドル端整形の様子です。


19.スロープ加工後のエッジです。
20.ブリッジ面とほとんどツライチになっています。

21.サドルを取り付けました。
22.完成したブリッジとサドルです。

ペグ交換

1.オリジナルペグです。
2.経年消耗のため、ガタ、バックラッシュが見られるため交換します。

3.取り外しました。
4.新しいペグを取り付けていきます。

5.取り付け完了しました。
6.弦を張り、スムーズなチューニングができることを確認しました。