ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

NoBrand 9-strings guitar

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東京都にお住まいのT.O.さんからHEADWAY HD-510, Gibson SouthernJumbo, NoBrand 9弦ギターのリペアご依頼をいただきました。T.O.さんから以前にGibson J-45, Martin D-28, HEADWAY HD-108のリペアご依頼をいただいており、今回で2回目、6本のギターリペアご依頼をいただきました。T.O.さん、誠にありがとうございます。 9弦ギターはフレットすりあわせ、弦周りのTUSQ化とサドル溝再加工を行ってフレット音痴を解消しました。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.ナットに当て木を当てて軽くコンとたたきます。

3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。


サドル溝加工~サドル製作

1.オリジナル・ブリッジです。
2.フレット音痴がサドル山補正の範囲を超えているので、一旦埋木してサドル溝を掘りなおします。

3.ローズウッド材を切り出してオリジナルサドル溝にはまるように加工しました。
4.サドル溝の埋木を完了しました。

5.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
6.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

7.マスキングテープにサドルピーク位置を書き写しておきます。
8.サドル山位置をサドル幅で囲み、サドル溝目標位置を書き込みます。

9.二重に貼っていたマスキングテープを剥がし、サドル溝位置とサドル山位置に分けます。
10.目標サドル高も記録しておきます。

11.サドル溝加工ジグを取り付けました。
12.トリマのビット先端がサドル溝の中央をなぞるように位置調整します。

13.サドル溝を掘っています。
14.サドル溝加工を終えました。マスキングテープを剥がしています。



15.補正したサドル溝はオリジナル位置よりも約4mmブリッジピン側に移動しました。
16.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

17.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
18.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

19.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
20.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

21.サドル高の切り出しを終えました。
22.サドル上部にピーク位置を書き写します。

23.サドルピーク位置を削りだしていきます。
24.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

25.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
26.ブリッジピン穴加工を終えました。

27.サドルを取り付けました。
28.完成したオフセットサドルとブリッジです。