ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

K.Yairi YW-600

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北海道にお住まいのY.K.さんからMorris W-80K.Yairi YW-1000、K.Yairi YW-600のリペアご依頼をいただきました。
K.Yairi YW-600はフレットすりあわせ、弦周りのTUSQ化を行いました。
リペア後のギターを受け取られてY.K.さんから暖かいメッセージが届きました。

樋口 様

ご連絡が遅くなり、申し訳ございませんでした。
ご依頼申し上げたリペア3本とも戻って来ております。仕事の都合で、本日漸く3本とも弾くことができました。
リペア後の感想としては、共通して言えることだと思いますが、低音が前面に張り出て来る、そんな印象を持ちました。今までは、YW1000以外は低音が霞んでいるような、何となくスッキリしない、寝ぼけた音でした。
イメージした音に近づいた気がします。ありがとうございました。

Y.K.さん、お忙しい中にもかかわらず、暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。Y.K.さんから頂きましたコメントの通り、3本ともとても音の抜けが良くなったと思います。
これからもY.K.さんが素晴らしいギターライフを送られることをお祈りしております。

この度は弊工房にリペアのご依頼を賜り、本当にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。


フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1. ナット接着は緩んでいました。
2.少しずらすとナットが取れました。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
14.ナット上部をカットしました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(除去前に読みとって記録しておきます)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.フレットを6弦側から見た様子です。
26.6弦のナット高をギリギリまで下げました。

27.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
28.弦とナットの接触面積および突入角度を最適化しました。


ピッチ調整~サドル作製

1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドルピーク位置を書き写しておきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。