ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Gibson Advanced Jumbo

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兵庫県にお住まいのY.K.さんからGibson Advanced JumboとJ-45のリペアご依頼をいただきました。
Advanced Jumboはフレット交換と弦周りのTUSQ化を行いました。
リペア後のギターを受け取られて、Y.K.さんから暖かいメッセージが届きました。

Y.K.です。お世話になります。
今回はどうもありがとうございました。
持ち帰って早速、一晩弾いてみた感想を書きたいと思います。

総評 ★★★★★(五つ星)

『内容』 加工は非常に丁寧で安心しました。
『価格』 仕上がりの音を考えれば非常に安い!
『納期』 フレット交換もしましたが短納期で仕上げてもらえました。

Advanced Jumbo
 音量とまとまりがアップしてると思います。
 弾きやすさもグッドです!

J-45
 元の状態が悪かったのもありますが激変しました。
 音量・音質・まとまり・弾きやすさなどすべて別物ですね。
 すばらしいです。(樋口さんもギターも)

奥さんと子供等の声
 『J-45は違うギターと違う?前は聴き難かったもんね~。エエやん。(笑)』です。

『またリペアお願いしたいですね!』が本音です。
これからも良い仕事でがんばってください。
それではこれにて失礼いたします。
短い間でしたが、ありがとうございました。

Y.K.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
最高の評価をいただき、誠にありがとうございます。

今回リペアさせて頂いたギターは両方とも若いギターですので、これからもっともっと味わいのある音に変身していくと思います。
「利き耳」をお持ちの奥様から「違うギター」とのお言葉もいただいて、嬉しい思いで一杯です。
これからもご家族で素晴らしいギターライフを送られるよう、お祈りしております。

この度は弊工房にギターリペアのご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い致します。


フレット交換

1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。

3.フィンガーボードの平面性を確認します。
4.軽くサンディングします。

5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
6.ここで一旦削り粉をクリーニングしましょう。

7.Gibsonの一部のギターはフレット・バインディングがこのような形になっています。
8.バインディングの出っ張りをカットします。(この形状にこだわりがあるオーナー様もいらっしゃいます)

9.フレット打ち込みの準備が整いました。
10.クリーニング後のフレット溝端とバインディングです。

11.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
12.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。

13.フィンガーボード全体に渡って計測します。
14.第一のフレットプレス・ジグです。

15.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
16.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。

17.ジグをサウンドホールから入れていきます。
18.フレットをプレスします。

19.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
20.2つ目のジグはこのように固定します。

21.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
22.順にプレスを進めていきます。

23.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
24.すべてのフレット打ち込みが終わりました。

25.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
26.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。

27.カットしたフレット端です。
28.専用のヤスリ・ブロックを使ってフレット端を整形します。

29.整形されたフレット端です。
30.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。

31.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
32.ボディもアクリル板でカバーしました。

33.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
34.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

35.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
36.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

37.さらに研磨タワシ(#600~#800)で研磨を進めます。
38.最後はコンパウンドで磨き上げます。

39.プロテクタ類を外しましょう。
40.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1.ナットを横にスライドします。
2.ナットが取り外せました。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れ、上部を切り取ります。
14.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込み、ナットらしくなってきました。
16.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)

17.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
18.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。

19.弦高調整前のナットです。
20.弦高調整前のナットです。

21.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。
22.弦高調整前のナット弦溝です。

23.弦高調整後の溝です。
24.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。


ピッチ調整~サドル作製

1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドルピーク位置を書き写しておきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。ロングサドルのサイドスロープ加工を行いましょう。
16.半丸ヤスリで粗くスロープを削り出します。

17.粗削り出しを行いました。
18.ブリッジ面を保護するためにマスキングテープを貼りました。

19.ミニルーターでスロープ面を削り出します。マスキングテープに触れるか触れないところで止めておきます。
20.サイドスロープ加工完了です。

21.同様にして1弦側のスロープも削り出しました。
22.完成したオフセットサドルとブリッジです。