ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Chaki W-2G

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岡山県にお住まいのK.K.さんから2台目のギターリペアご依頼をいただきました。(1台目はGibsonHummingBirdでした)

ブリッジプレートの修復を中心に、弦周りのTUSQ化、フレット浮きリペアを行いました。

リペア後、素晴らしい音色を奏でるようになりました。

K.K.さん、暖かいご感想のメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今後とも、よろしくお願い致します。

至宝のChakiが手元に帰ってきました。
今回はこのChakiの様変わりを非常に期待していました。
元々このギターはなんともいえないメロウでソフトな音質であったので 期待していたのは更に音の伸びと力強さでした。

Hummingbirdの仕上がりは言うまでもなく期待通りでした。
しかしこのChakiは期待以上の仕上がりでした。
現在35才と思われるこの名器は丁度良い時期にリペアマンと巡り会い見事復活しました。
立ち上がりの音の早さ、サスティーンの持続性、繊細な高音が磨かれ低音は更にシャープになりました。
ダダリオフォスファー弦とのマッチングもあると思いますが、このギターのこのサイズにしては音量も充分です。

コメントが遅くなったのをお詫びします。
少なくとも3人に試奏してもらい感想を聞いてからコメントするつもりでしたので、皆一様に音の良さを褒めてくれました。
大変満足しています。

今後ともよろしくお願いします。


リペア前の状況確認

1. 2弦の巻き糸部がサドルに乗りかかっています。この原因はブリッジプレートの劣化によるものです。
2. トップ板のブリッジ位置裏側の写真です。ブリッジプレートが何故か反対側に取り付けられており、エンドポールがトップ板に食い込んでいます。

3. 弦を外してみました。サドルがかなりすり減っています。4~6弦も同様の状態です。
4. 1,2フレットの6弦側が浮いています。打ち込み~研磨を行いましょう。

1. ハカランダ部材をブリッジプレートに使用します。
2. 木目はトップ板に対して垂直に切り出します。これくらいの大きさのプレートで充分でしょう。

3. ブリッジピン穴の間隔にケガキ線を入れます。
4.ハカランダ材は硬く、5mm径の穴あけを安定化するためにポンチで凹みをつけます。

5. では、穴あけを行いましょう。
6. ドリルで5mm径の穴を開けていきます。

7. 穴開け完了です。ここから実際に取り付ける形状に合わせて加工していきます。
8. もう一度、プレート装着位置を確認します。

9.まず、穴の端を直線にカットします。
10.この状態で、接触面を平面にするためにサンディングします。

11.すべすべの表面になりました。
12.次にピン穴横の形状に合わせて角を切り取っていきます。

13.ブリッジピン位置のターゲットとして樹脂製の疑似ブリッジを立てます。
14.プレートにタイトボンドをつけて接着しました。クランプで固定しましょう。

15.横長のプレートですので、3本のクランプを使用しました。
16. クランプの強さは「軽く抑える」程度で充分です。

17.接着剤の乾燥を待って、クランプを取り外します。
18.追加版、というか本来のブリッジプレート位置に装着完了です!

19.弦を張ってみると、ハカランダ材にバッチリエンドポールが引っかかっています。
20.2弦の巻き糸も本来の位置になりました。

フレット浮きリペア

1.フレットの浮いている隙間にたまったゴミを取り除きます。
2.フレット追打ち込み治具で軽くコンコンとたたくと本来の位置に納まりました。

3.浮きリペアを終えたフレットです。

ナット作製

1.ナット溝の掃除を行います。結構多くの接着剤が残っていました。
2.ナット溝の幅に合わせてTUSQナット・スラブを削っていきます。

3.ネック、フィンガーボードに密着することを確認しましょう。
4.逆光を利用して隙間を見るのが一番よくわかります。

5.ナット切り取り上面位置にケガキ線を入れます。
6.切り取り完了です。

7.ヘッド側の傾斜を削り出します。
8.ナットらしくなってきました。

9.今度は弦溝を彫り込みます。まずは弦溝位置マーキングをします。
10.弦溝用ファイルで浅めに弦溝を掘ります。弦高調整しろを残しておきます。

11.弦高調整前のナットが出来上がりました。
12.弦を張ると、こんな感じです。弦高は高いですね。

ブリッジピン穴加工~サドル作製

1.糸鋸の刃で弦溝導出口をサドル側へ引き寄せます。
2.次にミニルーターで糸鋸の跡をなぞりながら角度と幅をつけていきます。

3.TUSQサドルスラブをサドル溝にピッタリはまるように削り出しました。
4.上面を切り取りました。少し高めにしておきます。(こちらも弦高調整しろを残しておきます)

5.サドル山の傾斜をつけていきます。
6.弦高調整前のサドルが出来上がりました。

弦高調整

1.ストリングリフターで弦を持ち上げ、ナットの弦溝の深さを調整していきます。
2.弦溝を掘り進んでいきます。少しずつ削って、弦を張って調整、の繰り返しを行います。

3.弦高調整を終えたナットです。
4.こちらは弦高調整を終えたサドルです。