Martin D-28
戻る 兵庫県にお住まいのH.M.さんからMartin D-28のリペアご依頼をいただきネックリセット、ブリッジ交換、フレット交換などを含むトータル・リペアを行いました。リペア後のギターをお引き取りにお越しになったH.M.さんから、とても温かいメッセージが届きました。
ギター工房 オデッセイ 樋口様
メール拝受拝読いたしました。
楽器店で、キャッツアイCE-2500とマーチンD-28のどちらを買うか迷っていたときに、店員さんに「いくら技術提携していると言っても、転売するつもりがないなら絶対にマーチンを。」と進められ、購入を決めました。
学生だったので当然金もなく、昼飯に氷砂糖をなめて金を貯めた記憶があります(笑)。
当時はそんな感じのやつがいっぱいいたと思います。
それから購入後知らぬ間に45年ほどが経過していました。途中、あまりにも弾かなくなっていたのですが、「是非貸してほしい。」という同僚がおり、楽器は何より鳴らしてなんぼ、と思い約10年ほども出張、単身赴任していました。その同僚が「オーバーホールさせてほしい。」と言ってきたときには「申し訳ないけど。」と言って断りました。
また、勤務先が学校だったこともあり、この時代にアコギ好きの生徒がいたので、自分が同年代だった頃の『マーチン』の名前と価値を思い出し、「壊さなければ何をしてもよろしい。思い切り弾くように。」と1年以上も任せて貸していました。
近頃、何も言わないのに息子がギターをポロポロと弾き始め、まもなく逝く身のわたしとしては、それならきちんとして整備しといてやろう、と思い、今回のオーバーホールに至りました。
昨日朝一で息子と一緒に伺い、ギターを受け取り、帰宅後すぐにケースを開けました。
同じギターのはずですが、まず見た目からその変身が見て取れ、息子と二人知らず「オー!」と声を上げていました。
購入直後から弦高の高さが気になっていたのですが、D-28ってそういうのあるよ、という声も聞こえていたので、何となく自分を納得させていました。が、チューニングも「うーん」と感じることも毎度のことで、それが完全解消!されており、思い切りストロークしたら音が束になってバーンと飛び出して来ました。心地よいです(笑)。
昨日は仕事が休みで、ひとしきり鳴らした後、2階で荷物の片付けをしつつ、リビングに下りてきてはまた鳴らし、また片付けをしては下りてきて弾き、を何度も繰り返しました。
その間に息子も自分の部屋にD-28を持ち込んで何度か鳴らしては「全然ものが違う。」と申しておりました。
同じ手間暇掛けるなら、といろいろなリペアショップのサイトを見つつ探しつ、そのお仕事の丁寧さと自宅からの距離もあり、オデッセイさんを選び、決めました。同僚の申し出を断ったのは、いつかやってくるオーバーホールを任せる店は自分で決めたい、と譲れなかったんですね、きっと。
オリジナルのパーツもとても丁寧に取り扱っていただき、この点も感謝いたします。
オデッセイさん、樋口さん、リペア、本当にありがとうございました。
ヤマハのギターもお願いできる日を目指しますね。
何回言っても足りないかも。ありがとうございました。
H.M.
H.M.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
リペア前のギターを試奏させていただいて、少し寂しげな音色と、高い弦高による弾きにくさを感じましたが、ギターから発せられる「自分はまだまだ現役!」という強いオーラも感じました。
リペアを進めさせていただきながら・・・というか、ギターに導かれながら、と言った方が正しいかもしれませんが、
比較的スムーズにリペアを行うことが出来ました。
リペア後のギターは「現役オーラ」の通り、「これでもか!」と言うくらいの箱鳴りを含めた音色を奏でてくれるようになりました。
ネックリセットによる弦高低下による、弾きやすさも実現することが出来ました。
また、ブリッジ交換によるピッチずれ(フレット音痴)の解消はハイフレットでの演奏時、ストレスがかなり軽減できたと思います。
息子さんに引き継がれていく、本来の姿を取り戻したギターは、とても幸せだと思います。
きっとこれからも素晴らしい音色を奏でてくれると思います。ご家族で素敵なギターライフをお送りください。
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。