ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

YAMAHA L-5

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神奈川県にお住まいのM.T.さんからYAMAHA L-5のリペアご依頼をいただき、フレットすりあわせと弦周りパーツ交換、およびピックアップ取り付けを行いました。
リペア後のギターを受け取られて、M.T.さんからとても温かいメッセージが届きました。

オデッセイ樋口様

お世話になっております。M.T.です。

お返事が遅くなりましたが、年始に帰省しましたので音出し確認を行いました。

リペア前は、古いギター独特の美しい響きではあるものの、枯れたやや寂しそうな音でしたが、リペア後は枯れた中にも躍動感、生命力があるような、明るい音に生まれ変わりました。
また、ナットやサドルの交換、弦高等を調整頂いたおかげで大変弾きやすくなりました。
ギターは調整が大事ということを改めて認識いたしました。

ピックアップもこのギターと相性がよく、アンプに繋いで想定通りの音が出ております。

丁寧な仕事をして頂き、感謝しております。

M.T.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回のリペア内容は比較的軽微な内容でしたが、ギター本来の持つ潜在能力を引き出すことが出来たと思っています。
特にフレットすりあわせによるフレット山ラインの平坦化(弦方向)による弦高低下、および弦振動障害解消による音詰まりの低減が、弾きやすさと音の良さの要因になったと考えています。
リペア後のギターにご満足いただけて、私もとても嬉しい気持ちでいっぱいです。
これからも元気になったYAMAHA L-5と一緒に素敵なギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したブリッジとサドルです。

ピックアップ取り付け

1.L.R>Baggs社製LYRICを取り付けます。
2.コンデンサマイクをブリッジプレートに取り付けるタイプものです。

3.最初にエンドピン・ジャック穴加工を行います。
4.オリジナルエンドピンを取り外しました。

5.マスキングテープで保護した後、穴拡張を行いました。
6.拡張されたジャック穴です。

7.ジャックを取り付けました。
8.ブリッジプレートにマイクを取り付けました。

9.サウンドホールにボリュームコントロールを取り付けました。
10.動作確認を行い、ピックアップ取り付け完了です。