ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Martinez Madrid C

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兵庫県にお住まいのT.T.さんからMartinez Madrid Cのリペアご依頼をいただきフレットすりあわせ、ナット、サドル交換を行いました。
リペア後のギターを受け取られて、T.T.さんから暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ
樋口様

おはようございます。

早速弾いていますが、とにかく左手が楽です。
今まで、もたついたりすぐに手が疲れたりしていたような曲でも、さほど苦にならずに進められるし、弾き続けても疲れないので、とても驚いています。
それにつれてか、右手もスムーズに弾けるようです。

これで今まで中途半端に弾いては放り出していた曲に再挑戦できます
といってもこの年になると暗譜がなかなかできないので、手慰みレベルではありますが

音色は弦を交換とのことなので、比較はしにくいですが、明るい音ですね。よく響きます。

調整をお願いした甲斐が十分にありました。
ありがとうございました。

T.T.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回は比較的軽微なリペア内容でしたが、その効果は絶大でした。
フレットすりあわせを行うことにより、弦高低下を行うことが出来て、さらに弦の振動を遮る状態を回避できたので、サステイン、ボリュームともにアップしたと思います。

左手の運指が楽になると、肩の力が抜けて、演奏に集中できるようになると思いますので、ギターの練習が楽しくなって、さらにギターが上達する、という好循環になるのではないかと思います。
これからも素敵なギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
24.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

サドル交換

1.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
2.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。

3.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
4.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。

5.目標のサドル高をサドルに書き込んでいきます。
6.サドル高の切り出しを終えました。

7.サドルピーク位置を削りだしていきます。
8.完成したサドルです。