YASUMA Custom No.400
戻る 福岡県にお住まいのM.K.さんからYASUMA Custom No.400のリペアご依頼をいただき、ブリッジ交換、フレット交換、ブリッジプレート・リペアを含むトータルリペアを行いました。リペア前のギターを受け取る際、M.K.さんから次のようなメッセージをいただいておりました。
樋口 様
昨日ギターをヤマト便で送りました。
保管状態と手入れが不十分で驚かれると思いますが、よろしくお願いします。
購入したのは昭和47年の夏、梅田の阪神百貨店のアルバイトをして稼いだお金をほぼ全部使って買いました。
楽器店も同じく梅田だったと記憶しています。ヤマハのケース込みで当時40,000円でした。
ヤマハのギターよりも音のボリューム感はなかったんですが、音の響きが繊細でかき鳴らすというより、スリーフィンガーピッキングなどのいわゆるアコースティックギターならではの音色がとてもしっくりいったので購入を決めた次第です。
どこもかしこも汚れて、傷んで、変形し、劣化しているので、相当な修理が必要になるかもしれません。
修理の価値があるものかないものか、高額な修理費用をかけてリペアする価値があるものか判断して頂き、ご連絡を頂ければありがたいです。よろしくお願いします。
樋口様
この度はYASUMA Custom No.400に命を吹き込んで頂き誠にありがとうございました。
納品後すぐに手に取りゆっくりと仕上がりを確かめたかったのですが、10日ほど忙しさに感けておりまして、お礼のご連絡が遅くなりまして申し訳ありません。
本日やっとギターケースから取り出し久しぶりの音色に浸っておりました。
厚かましいのですが、我がギターはあのMartinギターの「シャリィーン」と言う繊細な響きを彷彿させる音色がとても気に入っていましたが、この度のリペアによって各弦の響きがクリアになり、その特徴を更に感じさせて頂きました。
このギターは私が1972年(昭和47年)の21歳の時に買い求めたものでした。
それからずっと50代まで愛用し、青春の思い出のこもったものでした。
しかしながら長年手入れを怠って来たことが、このギターの傷みを加速してしまっていました。
10年以上演奏のできない状態になっていました。
きっとそれでも手放さなかったのは、いつかきっとこのギターをもう一度弾きたかったのでしょう。
その壊れてしまったギターを、そしてこの私の長年の想いをものの見事に樋口様が叶えて頂きました。
これで今年70を迎えますが、ニールヤングの「Heart Of Gold」井上陽水の「いつのまにか少女は」くらいをしっかり演奏できるよう頑張ってみます。
まあその前にタコの消えた指先を硬くしないといけませんが・・・
せっかく樋口様が丹精込めてリペアして頂いたのですから、私と共に人生を歩んでくれたギターなのですから、これからは大事にして参ります。
ありがとうございました。
M.K.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
リペアを行う前は、とても寂しい表情と音色だったのですが、おそらくギター製造時のオリジナル状態よりも素晴らしい音色を取り戻せたと思いました。
また、今回リペアを進めさせていただく中で、ギターオーナー様の思い入れの強さを大きく感じた次第です。
リペア後のギターにご満足いただけて、私もとても嬉しい気持ちでいっぱいです。
でも、一番喜んでいるのは、これからもオーナー様と一緒に音を奏でていけるギターだと思います。
これからも蘇ったYASUMAギターと一緒に素晴らしいギターライフをお送りください。
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。