ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Taylor k14ce v-class

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Taylor k14ce v-class
京都府にお住まいのK.S.さんからTaylor k14ce v-classとYAMAHA LL56のリペアご依頼をいただきました。Taylor k14ce v-classはフレットすりあわせ、弦周りのTUSQ化を行いました。K.S.さんからは以前にGibson HummingbirdGibson J-45 Genuine Mahoganyのリペアご依頼をいただいており、今回で2回目、3本目と4本目のギターリペアご依頼となりました。K.S.さん、いつもありがとうございます。
リペア後のギターを受け取られて、K.S.さんからとても暖かいメッセージが届きました。

樋口様

お世話になっております。御丁寧に発送の連絡を頂きましてありがとうございます。
本日、2本とも無事に受け取りました。

リペア前は2本とも音が硬く薄い感がありましたが、早速2本とも試奏してみましたら深い音色に変化していると感じました。

YAMAHAの方はブリッジミュートで弾くと腹にズンズン響くのが分かります。生音も以前より大きく鳴っていますね。軽く弾いても音が消えない感じです。
低音も高音もいい感じで伸びてくれます。弾きやすくなっているのはいつも通りで感服いたします。

TaylorはKoa特有の音が出るまで時間がかかるとの事でしたが、以前とは全然音色が違っています。
こちらも音が大きくなってます。アタックレスポンスも早くなってる感じがします。YAMAHAと比べても音が広がるのはTaylorの方が早いような気がします。
弾きやすいです。

いつも丁寧な作業をして頂きありがとうございます。以前お願いしたハミングバード とJ45と日替わりで弾き倒します。
今後とも宜しくお願い致します。

K.S.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回は比較的軽微なリペアを施させていただきました。
結果はK.S.さんの仰るとおり、音響特性とともに演奏性も劇的と言っても良いくらいに向上しました。
リペア後の試奏では両ギターの個性的な音色を心ゆくまで楽しませていただきました。
このような機会を与えていただき、とても感謝しております。

K.S.さんのお手元にあるギター達が活躍している姿を考えるだけで、とても温かい気持ちになっています。
これからも蘇ったギター達と一緒に素晴らしいギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
16.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

17.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
18.弦高調整前のナットです。

19.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
20.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

21.ナット高調整前の弦溝です。
22.弦高調整後のナット弦溝です。

23.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
24.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したブリッジとサドルです。