ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Gibson BluesKing

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神奈川県にお住まいのH.M.さんからGibson BluesKingとMartin OOO-16RGTのリペアご依頼をいただきました。Gibson BluesKingはトップ板割れリペア、フレットすりあわせ、弦周りのTUSQ化を行いました。
リペア後のギターを受け取られてH.M.さんからとても暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ 樋口英之様

Gibson BluesKing、Martin OOO-16RGT
でお世話になりましたH.M.です。

お話より早くの出来上がりでありがとうございました。
早速チューニングし、音出しをいたしました。

Gibson BluesKingはもう一段太めのゲージで試してみたいです。
樋口様にはお話ししていなかった、気になる部分が改善されていました。
私はフィンガーピッキングがメインの弾き方なのですが、5カポでの3弦がポコンポコンという、とてもいやな鳴り方、これが軽減しています。バランスよく鳴り始めました。
ネックは、弾きやすいですね。コードフォームを乗せるだけで綺麗な音が出せますし、弦のビビリが無いので気持ちが良いです。これは、Martin OOO-16RGTも同じです。
いつも使っていたゲージより太いゲージなのにって感じです。
ケースを開けた瞬間は、ナット、サドル、フレット、エンドピンがピカピカで新品購入時より愛しさが増しました。
本当にありがとうございました。
お手紙もありがとうございました。

H.M.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

リペア前はとても寂しい音色を奏でるギター達でしたが、リペア後は「どんなもんじゃい!」的な素晴らしい音色を奏でてくれるように変身しました。
BluesKingのトップとOOO-16RGTのサイド以外は状態は良かったので、弦周りのリペアを施すことによって演奏性も含めて大きな改善が出来たと思っています。
リペア後のギターにご満足いただけて私もとても嬉しい気持ちでいっぱいです。
これからも蘇ったギター達とともに素晴らしいギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

トップ板割れリペア

1.リペア前のトップ板です。
2.ブリッジ下からボトム部にかけて割れが見られます。

3.ボディ内からの様子です。割れが貫通しているのがわかります。
4.割れ部分をマスキングテープで保護した後、ジグを乗せました。

5.ボディ内からはパッチ材固定用のジグをマグネットで半固定させています。
6.パッチ材に接着剤を塗った後、クランプでジグとパッチ材を固定します。

7.ボディ外からはクランプで固定します。このまま固着を待ちます。
8.最下部パッチ材が固着した後、一段上の割れにパッチ材を接着しました。

9.この部分はマグネットクランプで固定します。
10.さらに最上部の割れにもパッチ材を接着しました。

11.こちらもマグネットクランプしました。このまま固着を待ちましょう。
12.パッチ材の接着が完了しました。

13.リペア後のトップ板です。
14.ほとんど目立たなくなりました。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したブリッジとサドルです。