Gibson Hummingbird

兵庫県にお住まいのS.I.さんからGibson Hummingbirdのリペアご依頼をいただき、アジャスタブルサドル・スロット化、フレット交換、ブリッジプレート・リペアなどを含むトータル・リペアを行いました。
リペア後のギターをお引き取りにお越しになり、ご帰宅後にS.I.さんから、とておも暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ樋口英之　様

こんにちは、S.I.です。
先日はありがとうございました。
なかなかゆっくりと弾く時間が無かったのでお礼のメールが遅くなりました。

昨日、改めて弾き込んで、マーチンOM-28とギブソンJ-45,J160と弾き比べました。
そもそもがコンセプト違いのこの4本を直接比べるのもご法度かもしれませんが・・・

ハミングバード（改）を弾いて感じた事です。
先ずは何といっても音色の素晴らしさ。
元々が良く鳴っていたギターでしたが、今回フレット、ナット、サドルとトータルでリペアして頂いたお陰で、以前にも増してボディー全体で音が鳴っています。
単純に大きい音という言葉では片づけられず、コードを抑えている左手にも響いてきます。
他のギターと比べると弦が鳴っているんじゃなくてボディーが鳴っているという印象が非常に明確に出ています。
とにかく音が前へ前へといった感じです。

あと、これは何故そうなったのか私には不明ですが、弦のテンションが鋭く軽くなったという事です。
上手く説明できませんが、ピックで弦を弾いた時の右手の指先に感じる弦のテンション感が非常に硬い感じです。
しかし、硬くて弾きにくいとかは皆無です。ですから、非常に歯切れが良く気持ちよくいつまででも弾いて居られます。
非常に気持ちがいいんです。それは左手指先にも同じ事が言えます。

あとはピッチ調整等をして頂いたお陰で、長年のギブソンアコギのチューニングの気持ち悪さに対しての悩みがようやく晴れました（笑）最高に気持ちいいコード和音がボディー全体で鳴り響く、素晴らしいギターに変身しました。

今回はボディーのクラックも含め、全部込みでリペアして頂いて本当に良かったです。
今後共、何卒宜しくお願い致します。

S.I.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回、リペア後のギターを試奏させていただいた時、ギターってこんなに全体から音が出るんだ、と私も大変驚きました。
「箱鳴り」という言葉では表現できない「爆鳴り」感がすごかったです。
アジャスタブルサドル・スロット化によるサドルからボディへの弦振動の伝搬、フレット山と弦の接触最適化によるサステインの向上、ナット、サドル、ブリッジピンのTUSQ化による弦振動ロスの最小化が全て相まった「ギターの蘇り」ができて本当に良かったです。

バイオリンに比べてギターは未完成の楽器と言われますが、このHummungbirdはある意味完成されたギターではないかと思っています。
こんな「すごいギター」リペアという機会を与えていただき心から感謝しております。

これからもS.I.さんの傍らでHummingbirdが活躍することをお祈りしております。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。