ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

HEADWAY HCF-507AS

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HEADWAY HCF-507AS
福岡県にお住まいのM.N.さんからHEADWAY HCF-507ASのリペアご依頼をいただき、フレットすりあわせと弦周りのTUSQ化、ブレイシング浮きリペア、およびピックアップ取り付けを行いました。
M.N.さんからは以前にMartin OM-28Vのリペアご依頼をいただいており、今回で2本目のギターリペアとなります。M.N.さん、いつもありがとうございます。
リペア後のギターを受け取られて、M.N.さんから温かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ 樋口さま

昨日、ギター受け取りました。
購入して約5年くらいでしょうか、 裏のブレイジングはがれ、半年間の休養を経て、
樋口さまにリペアして頂き、ビリビリと、情けない音になっていたのが、ウソのようです。

OMタイプの形が好きですが、マーチンOMみたいに箱鳴りの音量が無い感じだったのに、ウソのような音量です。
マホガニーって、こんなにきらびやか?
ギターの秘めた力を、引き出していただいた感じです。
低音、中音はっきりして、すごいです。

ピックアップの、取り付けも、さすがですね、
コードが、だらっとしてなくピンとして、無駄が無いです。

本当にありがとうございました。

M.N.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

リペアを始める前は「おそらくこんな音になるのかな?なったらいいなぁ」くらいだったのですが、仰るとおり、リペア前後のギターの音色がこんなにも違うのか、という経験をさせていただきました。

からっとしたマホガニの音でありながら、箱鳴り感も強いですね。
リペア後にギターにご満足いただけて、私もとても嬉しい気持ちでいっぱいです。

本来の音色を取り戻したギターと一緒に、これからも素晴らしいギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1. オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて取り外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したブリッジとサドルです。

ブレイシング剥がれリペア

1.サウンドホールからボディ内を覗いています。
2.反対側です。

3.ボディ奥です。
4.反対側です。バックボード下側のブレイシングが全体的に浮いています。

5.浮き部分にマスキングテープを貼り、タイとボンドを乗せた後ナイフで浮き部分に流し込んでいきます。
6.ジャッキで固定します。

7.反対側です。
8.同様にジャッキで固定します。

9.右奥です。
10.ジャッキで固定します。

11.左奥です。
12.ジャッキで固定します。

13.ボディ外部からクランプで固定します。
14.このまま固着を待ちましょう。

ピックアップ取り付け

1.Fishman社製のRare Earth Blendを取り付けます。
2.エンドピンを取り外します。

3.ジャック径に合わせて穴を拡張しました。
4.エンドピンジャックを取り付けました。

5.サウンドホールにピックアップを取り付けました。
6.弦を張りました。