Martin OO-17
戻る 埼玉県にお住まいのH.K.さんから1945年製Martin OO-17のリペアご依頼をいただき、ネックリセット、ブリッジ脱着を含むトータルリペアを行いました。リペア後のギターをお引き取りにお越しになったH.K.さんから、とても暖かいメッセージが届きました。
明けましておめでとうございます。いまやっと埼玉に戻りました。
この度はリペアありがとうございました。他の人から見たらただのおんぼろギターなんですが、25年前、オーストラリアで半ば強引に店長から買ったときからずーっと一緒でした。あまりにも湿度が高くて全体がカビで緑色になったこともあり、乾燥剤を夜まで探したこともありました。
実はリペアに出すまではギターのことが心配でなりませんでしたが、樋口様のHPを拝見させていただき、お会いした時、その人柄で信頼してまかせてみようと思いました。
帰ってきたギターはすっかり弾きやすく、またチューニングがしやすくなっていました。ギターばかり良くなっても弾き手がヘボではギターにも、なにより樋口様に申し訳ないので、左手の指先がカチカチだった昔のように練習しようと思います。
本当にありがとうございました。
追伸
私も仕事柄、木工細工をいたしますが、これほどまでに精巧にリペアされる技術には驚きを隠しえません。ぜひHP等でどのように技能を習得されたかをお教えいただけると幸いです。
H.K.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
1945年製のギターということと、昨年(2015年)が戦後70年だった言うこともあり、色々な想いをはせながらギターリペアを進めさせていただいた次第です。
リペア前はブリッジが浮き、サドルが傾き、ペグにがたつきがあり、弦を張るのも無理があるような状態でしたので、ギターの状態を完全に知りうる試奏はできませんでした。
そのような中でもボディをタップすると完全に枯れきったマホガニの心地よい反射音が聞こえてきたので、リペア後のギターはきっと素晴らしい状態に復活する、と信じてリペアを進めさせていただきました。
リペア後、H.K.さんにギターをご返却するまでに日にちがありましたので、Old Martinの素晴らしい音色を思いっきり堪能させていただきました。
このような貴重な機会を与えていただき、心より感謝しております。
リペア後はネックリセットの効果が大きく、12フレットで6弦1.8mm、1弦1.2mmと弦高も低く調整することができ、ペグ穴を再加工することにより、チューニングも安定するようになりました。
何より、フレット山をそろえることと、弦周りをTUSQ化することでサステイン、ボリュームも含めてギターの音色は潜在能力を最大限に発揮できるようになりました。
蘇ったギターと共に、これからも素晴らしいギターライフをお送りください。
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
追伸:
> 私も仕事柄、木工細工をいたしますが、これほどまでに精巧にリペアされる技術には驚きを隠しえません。
> ぜひHP等でどのように技能を習得されたかをお教えいただけると幸いです。
大変暖かいお言葉を頂戴して、とても嬉しく思っております。
私は十数年前まで医療系企業にコンピュータ技術者として勤めておりました。
年齢を重ねるにつれて管理を任される仕事が多くなり、自分の適性には合っていないと感じて、いつか自分がやりたい仕事で独立するタイミングを待っておりました。
1997年から2000年までアメリカに家族で赴任していた間にアメリカでのギター事情を知ることになり、帰国時に独立する決意を固めました。
ただ、ギターリペアや製作に関する技術や技能には疎かったので、アメリカのギター・スクールに行くことを決めたのですが、カリキュラムをこなすだけでは身につく知識は少ないと考えて、質問リストを作って、臨むことにしました。
それ以来、リサイクルショップで壊れかけのギターを買い込んではリペアまがいの自習が始まり、その中で不明な点を質問リストに加えていきました。
そのサイクルを繰り返しこなしていくうちに、以前自分が不明だった点への回答を徐々に得るようになり、最終的には質問リスト項目がなくなりました。
結局、上記の経緯で独学で技術・技能を習得することになったのですが、果たしてこれが正解なのか、定石なのか、不安な状態は今も続いております。
私は中学生時代、技術の授業がとても好きでした。
技術の先生も大好きで、人生論も含めていろいろなことを教えてもらい、今も私の人生の基軸になっていることが多くあります。
H.K.さんもきっとあの先生方のように学生達にいろいろなことを教えているんだろうなぁ、と思うと共に、いつかH.K.さんの授業を覗いてみたいという衝動に駆られます(笑)。