ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Alvarez Yairi DYM94

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宮城県にお住まいのH.N.さんからAlvarez Yairi DYM94のリペアご依頼をいただき、フレットすりあわせ、弦周りのTUSQ化、およびストラップピン取り付けを行いました。リペア後のギターを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ 樋口英之様

昨晩無事ギターを受け取りました。

他の依頼者様方々同様、チューニングの時点で音の鳴りとピッチの安定感に大変感動感激致しました!

サスティーンの伸びも物凄く、また以前はこもり気味だったベース音がボディーからネックを握る左手にまで伝わってきました。
まるでギターが全身で音を出している様な、そんな感覚がしました。

凄いです!!

正直ここまで変わるものなのかと驚きました。

このギターは、純国産・完全手工・少量生産・永久保証といったヤイリギターのポリシーに憧れ、多くのギターショップを巡り試奏させて頂き、やっと出会えた一本でした。

買った当初は音色が良く弾きやすくて、嬉しくて嬉しくてスタジオだけては飽き足らず、夏のBBQやキャンプなと様々な所に持って行っては毎日のように弾いておりました。
しかし、いつの日からかベース音のチューニングが安定しずらくなり気が付いた頃には、音色が篭るというか音が前に出ずらくなり弾きにくいギターになってしまっていました。

最初はアンプにつないで誤魔化そうとしたりしましたが当然改善される訳もなく、原因は自分のスキルの無さではないかなど、色々悩んだ事もありました。

ヤイリギターにリペアに出そうかと考えていた矢先、たまたまWebでオデッセイを知り、自信を持ってリペア工程をUPされている様子や、依頼人とのやり取りの文書などを拝見して、この方は本当にギターが好きなんだなー。と思い、依頼を決意いたしました。

そして今、リペアを終えギターを弾き、オデッセイに依頼して本当に良かったったと確信しております。

ケースに同封されていたメッセージやクロス、とても嬉しかったです!
早速使わせていただきます!

最後まで丁寧に対応していただき本当にありがとうございました!

次回も必ずオデッセイにご依頼させていただきたいと思いますので、何卒宜しくお願いいたします。

どうぞ御身体を大切にご自愛ください。

失礼いたします。

H.N.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回、H.N.さんの想い出、思い入れがたくさん詰まったギターをリペアさせていただく機会に巡り会えましたことを、こちらこそ深く感謝しております。また、リペア後のギターにご満足いただけて、私も嬉しい気持ちでいっぱいです。

H.N.さんの仰る通り、リペア前後のギターの激変ぶりには大変驚きました。
この凄まじいとも言える鳴りは、どこから発っしているんだろう?と思いながら試奏を楽しませていただいた次第です。

これからも蘇ったAlvarezとともに、すばらしいギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。


追伸:
4年前の震災の影響でいろいろと不便が続いているかと思いますが、こちら神戸からもあの日のことを忘れず、想いを送り続けております
くじけそうになったり、逃げ出したくなったりすることも多くあると思います。
頑張らなくても良いので、一歩一歩、進んでいってください。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1. オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたきます。

ナットを取り外している様子です。


3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
14.ナット上部をカットしました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。
11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。


ストラップピン取り付け

1.ヒールエンド部にストラップピンを取り付けます。
2.下穴を開けました。

3.ねじ止めしていきます。
4.取り付け完了です。