ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Martin BackPacker

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兵庫県にお住まいのM.Y.さんからMartin BackPackerのリペアご依頼をいただき、フレットすりあわせと弦周りのTUSQ化を行いました。(M.Y.さんは高校時代の同級生で二人でユニットを組んで学園祭に出演した、かつてのパートナーです)
M.Y.さんから以前YAMAHA FG-700のリペアご依頼をいただいており、これで2本目のリペアご依頼となります。M.Y.さん、ありがとうございます!

今回は2本目のギターのリペア、ありがとうございました。

楽器屋でMartinのギターが3万円弱で売っていました。ゼロが1つ足りないんだろうと思って店員さんに聞いたら間違ってないって言うので、思わず買っちゃったBackpackerでした。

でも、何の飾り気もなく寂しいギターだったので、アバロン貝とパーフリングっていう貝の両側に入れる黒いプラスチックをネットで買って埋め込み、Martin D-45以上に超豪華にしました。

こうなると思い入れが出て来て、もっといいギターにしてもらおうと思い、リペアをお願いした次第です。

弦高が高くて弾きにくい上に、2弦の12フレットを弾くとなんか微妙に音がずれているような気がしてお願いしたところ、リペア後は弦高も低く弾きやすくなり、フレット音痴も直りました。おかげでますますこのギターに愛着が湧いてきました。

毎回、技術力の高さにはびっくりです。また先でリペアが必要になれば、よろしくお願いしますね。ありがとう。

M.Y.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

D-45版BackPackerのリペアご依頼をいただき、ありがとうございました!
リペア後の試奏では「ん?めっちゃ、いい音鳴ってるやん!」と思って、弾きこんでしまいました(笑)。
こんなに小さなボディなのに、箱鳴りがし出すとすごいなぁ、と感じました。
リペア後のギターにご満足いただけて、とてもうれしい気持ちでいっぱいです!

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1. オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて外します。

ナット取り外しの様子です。


3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
14.ナット上部をカットしました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。


サドル作製

1.サドル位置にチューナーとイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。