ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

VG-03C

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千葉県にお住まいのF.K.さんからVG-03CとInfie YK-851のリペアご依頼をいただきました。VG-03Cはブリッジ脱着を含む弦周りのトータルリペアを行いました。リペア後のギターを受け取られてF.K.さんからとても暖かいメッセージが届きました。

ギターを確かに受け取りましたのでご連絡いたしました。

VG-03Cは、以前は湿度によりコンディションが大きくばらついていたのが、常に最高の音を出してくれるギターとなりました。
また、ローフレットを押さえた際の弦とフレットのビビりも解消されました。
非常にうれしい限りです。

このVGは、私の青春を共に過ごしてきたギターであり、これからも長く付き合えると確信でき、非常にうれしい限りです。

これからもこのギターとともに過ごしていくために、またリペアのご依頼させていただいたときは、お力添えいただければと思います。

このたびは本当にありがとうございました。

F.K.さん、とても暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回のリペアでブリッジ浮きが解消されたことで、弦の振動がボディに伝達されるようになったと思います。
リペア後のギターにご満足いただけて、私もとても嬉しい気持ちで一杯です。
これからも素晴らしいギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

ブリッジ脱着

1.ブリッジが浮いています。
2.浮きが広範囲に広がっているので、一旦取り外して再接着を行います。

3.ブリッジを取り外しましょう。ラバーヒーターです。
4.周囲を保護した後、ヒーターをクランプします。

5.温度をモニタしながら徐々に温度を上げていき、接着面が緩むまで待ちます。
6.接着面にナイフを挿入していきます。

7.少しずつナイフを進めていきます。
8.ブリッジが外れました。

ブリッジを取り外している様子です。


9.ブリッジ接着面をクリーニングします。
10.ブリッジ側も同様にクリーニングします。

11.クリーニングを終えました。
12.周囲をマスキングして再接着準備が整いました。

13.湯煎したニカワを接着面に塗ります。
14.全体に薄く塗っていきます。

15.そっとブリッジを乗せます。
16.クランプしました。

ブリッジ再接着の様子です。


17.クランプで溢れたニカワを拭き取っていきます。
18.マスキングテープを剥がします。

19.このまま固着を待ちます。
20.固着後のブリッジです。

ブリッジプレート・リペア

1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。弦のエンドポールが食い込んでしまう状態になっています。
2.ローズウッド材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。

埋木用プラグを切り出している様子です。


3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。
4.プラグの中央に小穴を開けます。位置決めのためにポンチで凹みを入れています。

5.小穴があいたプラグです。まだ材に固定されています。
6.切り出し終えたプラグたちです。プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。

7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。

9.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
10.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。

11.1弦の凹み加工を終えたブリッジプレートです。
12.同様にして3,5弦の凹み加工も行いました。

13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。
14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。

15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。
16.1弦のプレート凹み部分にプラグを接着しました。小ネジは少し引き上げてプラグを固定した後、緩めとります。

17.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。
18.アクリル・プレートを挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。

19.1,3,5弦のプラグ固着後、同じように2,4,6弦のプラグ接着を行います。
20.6弦すべてのプラグ接着を終えました。

21.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
22.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。

ブリッジピン穴を空けている様子です。


23.プラグにブリッジピン穴を開けました。
24.弦を張りました。エンドポールがプレートの上にしっかり固定されています。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたき、スライドして取り外します。

ナット取り外しの様子です。


3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
14.ナット上部をカットしました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。


サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。