ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Gibson L-00

戻る
神奈川県にお住まいのM.M.さんからGibson L-00のリペアご依頼をいただき、ブリッジ脱着、フレット交換を含むトータルリペアを行いました。リペア後のギターを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。

オデッセイ 樋口様

M.M.です。L-00到着しました。
どうもありがとうございました。

いろいろリペア業者さんを探していましたがオデッセイさんに決めたのは樋口様が包み隠さず動画までリペアの過程を公開していたことです。
これなら安心して任せられると思いました。

まだ弦がこなれてないですがより小型ギブソンらしいブルースに似合う音になったと思います。

また次の機会がありましたらよろしくお願いします。

それでは失礼します。

M.M.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

リペア後のギターにご満足いただけて、私もとても嬉しい気持ちで一杯です。
私がリペアの様子をホームページに掲載させていただいているのはギター・オーナーの皆様にご安心していただくことの他に、私自身が工程ごとの確認を行う上で、とても役に立っています。

これからもGibson L-00と共に、素晴らしいギターライフをお送りください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

ブリッジ脱着

1.オリジナルブリッジに浮きが見られますので脱着を行います。
2.ヒーターをクランプします。

3.温度をモニタしながら徐々に温度を上げていき、接着面が緩むまで待ちます。
4.接着面にナイフを挿入していきます。

5.少しずつナイフを進めていきます。
6.ブリッジが外れました。

ブリッジ取り外しの様子です。


7.接着面をクリーニングします。
8.ブリッジ接着面もクリーニングします。

9.再接着の準備が整いました。
10.湯煎したニカワを接着面に塗ります。

11.全体に薄く塗っていきます。
12.そっとブリッジを乗せます。

13.クランプしました。
14.クランプで溢れたニカワを拭き取っていきます。

ブリッジ再接合の様子です。


15.マスキングテープを剥がします。
16.このまま固着を待ちます。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.ナットは既に外れていました。

3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したブリッジとサドルです。