ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Ovation 1868 Elite

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和歌山県にお住まいのK.U.さんからMartin D-28 custom, Ovation 1868 Elite, Fender Stratocasterのリペアご依頼をいただきました。Ovation 1868 Eliteはフレットすりあわせとナット交換を行いました。
リペア後のギターを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ 樋口英之 様

本日、仕事から帰宅しましたら、ギターが届いておりました。
早速、チューニングをして弾いてみました。

皆さんが感想で述べられているように、チューニングの段階で 「サスティーンが違う!」事に気付きました。
リペア前のMartinは、低音弦が何やらモソモソとしておりましたが、 リペア後には音の輪郭がはっきりとしました。TUSQ化のお蔭かと愚考 いたしております。
弦高調整も相まって、非常に弾きやすくなりました。

Ovationは暫く日の目を見ないでいたのですが、娘が「ギターをやりたい。」と 言い出しましたもので、譲ろうかなと考えリペアをお願いしました。
こちらはビビリ音が発生しておりましたが、見事に無くなっておりました。
また、途中で無理を聞いていただきましたStratocasterもとにかく弾きやすくなって弾くのが楽しいギターとして蘇りました。

リペア中も、メールやHPでご報告いただき、安心してお任せできました。
樋口様にリペアしていただいたギターを、これからも大切に大切に使わせていただきます。

この度は、有難うございました。
今後の樋口様のご活躍をお祈り申し上げます。(トライアスロンも陰ながら応援しております。)

                     K.U.


K.U.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

Martin D-28 customの低音音詰まりの大きな原因はネックとボディの接合不良に起因するものでした。
ネックリセットを施してギター本来の音色を取り戻した上に、最適弦高に調整が出来て良かったです。
OvationとFenderは構造上リペアの実施により、演奏性を向上することができました。

リペアを開始するまで大変長い期間お待ちいただいた上に、リペア期間の間もお待ちいただき、大変恐縮すると共に心から感謝しております。工房部屋でK.U.さんのギターと一緒に過ごさせていただいた日々を大切に記憶に残していきたいと思っております。

ご家族と共にこれからも素晴らしいギターライフをお過ごしください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。


フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたきます。

ナットを取り外している様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。