ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

YAMAHA APX-20

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鹿児島県にお住まいのM.Y.さんからYAMAHA APX-20のリペアご依頼をいただき、弦周りのTUSQ化(ナット、ブリッジピン)とバッテリー・スナップ・リペアを行いました。
M.Y.さんからは以前にYAMAHA L-31Aのリペアご依頼をいただいており、これで2本目のリペアご依頼となります。M.Y.さん、ありがとうございます。
リペア後のギターを受け取られて、M.Y.さんからとても暖かいメッセージが届きました。

ギター工房 オデッセイ
樋口様

鹿児島のM.Y.です。

本日ギター届きました。

購入してから20年経過していましたが、樋口さんに御診断頂き、結果、リペアの必要性無しとのことでした。以前リペア頂いた YAMAHA L-31Aがあまりにも大がかりなリペアだったこともあり 今回は、ちょっと拍子抜けな感じでした(笑)。

うれしいやら残念(笑)やら、ここはなんとか、樋口さんのリペア痕跡を残して頂きたく弦周りのTUSQ化とバッテリースナップの修復をお願いした次第です。
お忙しい中、わがままを聞いてくださり本当に感謝申し上げます。

エレアコですが、生音でも私好みの音を醸し出してくれるギターです サドルはPU一体型のためTUSQ化ができないとのとでしたが、新しいナット・ブリッジピンと弦高調整もして頂き、弾きやすくなりました。またサドルはそのままでも4弦から6弦の重厚な音量が増して鳴るように感じます。

バッテリースナップは、破けた時点で自分で修復も考えましたが、己の不器用さの影響がギターに与える損失を冷静に考え(笑)お願いするしかないと思いました。きれいに修復頂きました。

近い将来次のギターのリペア予約を入れたいと思います。
その時は、またよろしくお願い致します。
本当にありがとうございまいました。

追伸

以前 リペアして頂いた、YAMAHA L-31Aですが、お気にかけて下さりありがとうございます。
すこぶる軽快に使用できています。
自慢の愛機となりました。

M.Y.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回のギターは経年の割には比較的弦周りの消耗が少なかったので、軽微なリペアのみとなりましたが、ご依頼をいただき本当にありがとうございました。
ただ、今回見送りましたリペア項目はフレットが摩耗してきた時点で改めて拝見させていただきたいと考えておりますので、その際はご遠慮なくお声がけください。
またそれとは別に、次のギターリペアのご依頼もお待ちしております。

前回リペアさせていただきましたL-31Aも元気で活躍しているとのこと、とても嬉しく感じると同時に、ホッと安心している次第です。

こうしてオーナー様からの暖かいお言葉を頂戴すると、本当に心から勇気づけられ、明日への力となっていくことを強く感じます。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。


ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.ナットはすでに外れていました。

3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
6.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

7.1弦側からもナットの密着を確認します。
8.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

9.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
10.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

11.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
12.ナット上部を切り取りました。

13.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
14.ナットらしくなってきました。

15.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
16.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

17.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
18.弦高調整前のナットです。

19.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
20.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

21.ナット高調整前の弦溝です。
22.弦高調整後のナット弦溝です。

23.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
24.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。


バッテリ・スナップ・リペア

1.バッテリスナップが破けていますので、新しいものを取り付けます。
2.長さをずらしてハンダ付けしました。

3.熱収縮チューブで保護しました。
4.スナップ・リペア完了です。