ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Gibson ES-335

戻る
大阪府にお住まいのT.T.さんからGibson J-45とGibson ES-335のリペアご依頼をいただきました。
Gibson ES-335はフレットすりあわせとナット交換(TUSQ材)を行いました。リペア後のギターを受け取られて、T.T.さんから暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ 樋口様

T.T.です。
この度は、お世話になりました。

樋口さんの丁寧なお仕事ぶりをHPで拝見しながら、この日が来るのを待ち望んでおりました。

ぴかぴかになったJ-45のフレットをみて、初めて、このギターを入手した日のことを思い出しました。

リペア前と比較して、音量、バランス共に向上されたことが感じ取れました。
素性の悪いこのギターに魂を込めてくださったこと感謝します。
ES-335については、弾きやすくなり、音に艶が出たような気がします。

これからも、このギターたちと末永く付き合っていけそうです。

数年後、リペアの際はまたよろしくお願いします。

T.T.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

リペア後のギターの音色と演奏性にご満足いただけて、嬉しい気持ちでいっぱいです。
今回リペアさせていただきましたギターは2本ともネックの状態は良好でしたので、フレットの状態を改善したことによる効果が大きいことに重ねて、J-45はTUSQ化によるボリュームアップが見られ、ES-335はサステインがアップしたと思います。

どうぞ、これからも末永く素晴らしいギターライフを送ってください。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、ありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。


フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1.オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたき、スライドしてナットを取り外します。

3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.ナット溝にピッタリはまるようになりました。
8.1弦側からもナットの密着を確認します。

9.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
10.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

11.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
12.ナット上部を切り取りました。

13.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
14.ナットらしくなってきました。

15.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
16.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

17.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
18.弦高調整前のナットです。

19.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
20.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

21.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
22.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。