ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

BLUEBELL W-500

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長野県にお住まいのH.O.さんからBLUEBELL W-500のリペアご依頼をいただきました。
「音色のちぐはぐ感」が気になるとのご指摘でしたが、弦周りのTUSQ化を行うことでバランスの取れた音色を奏でるようになりました。
リペア後のギターを受け取られて、H.O.さんから暖かいメッセージが届きました。

しばらく、手元を離れていましたので、ワクワクしながら梱包を開いていきました。

ギターケースを開けた瞬間、「おぉー」と声を発してしまいました。
そのギターは、依頼した時と見違えるほど、すごくバランスの良いボディーになっていました。

過去に何度かリペアを繰り返すうちに、少しずつ違和感を感じていましたので、その辺りを樋口さん相談して今回のリペア依頼となりましたが、非常に満足しています。
ナット・サドル・ブリッジピンとフレットは、ギターの音色に最も大きく影響を与えるパーツである、と同時に、ギターのボディーバランスにもかなり影響があると思います。
それぞれのパーツを丁寧な作業で、しかもこのギターに合わせて施して頂いたお陰で、見栄えの良いすばらしいギターに生まれ変わりました。とても35年前のギターには見えません。
サウンドも、今まで、5.6弦の音がしっくりせず、こもった音がしておりましたが、それも解消され、1弦から6弦まで、メリハリのあるはっきりとした音が再現されるようになりました。
そのせいかチューニングが非常にやりやすくなったと思います。
後は、ピックアップを樋口さんお勧めの「SUNRISE S-2 + NICO-PIN」をセッティングしましたので、今後のライブで、仲間の反応が楽しみです。この度は、本当にお世話になりました。

また、次のギターのリペアもお願いしたいと思います。その時も宜しくお願いします。

H.O.さん、早速のとても暖かいメッセージをいただき、ありがとうございました。

リペア前のW-500は何か「ちぐはぐ感」を感じるものでしたが、
リペア後はH.O.さんのおっしゃるとおり、その潜在能力を開花したように感じました。

H.O.さんからギターを受け取りました際にお聞きしました「高校に入り、自分の貯金で初めて購入したギター」という言葉をリペアの間、ずっと想いながら作業を進めさせて頂きました。
また、ご自身でペグを交換され、音の「ちぐはぐ感」の原因がそこにあるのかもしれない、とのことでしたが、そうではなく(ペグが原因ではなく)、弦周りのTUSQ化で復活して本当に良かったと思っています。

これまで連れ添ってきたW-500を復活するお手伝いができて、とても感謝しております。
これからも素晴らしいギターライフを送られることをお祈りしております。
この度は弊工房にギターリペアのご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い致します。


ナット交換

1. オリジナルナットです。
2.当て木を当てて、軽くコンとたたいてナットを取り外します。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
14.ナット上部をカットしました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。


ピッチ調整~サドル作製

1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドルピーク位置を書き写しておきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。


サドル溝再加工

1.サドル上面が削られており、サドル溝が非常に浅くなっている状態です。
2.サドル溝を深く加工します。まずジグを取り付けました。

3.位置決めを行った後、トリマで溝の再加工を行います。
4.加工後のサドル溝です。


ピックアップ取り付け

1.コンタクトにはNICO-PINを使用しました。取り付け位置を探しています。
2.マグネットにはSUNRISEです。