ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

YAMAHA FG-301B

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埼玉県にお住まいのM.K.さんからYAMAHA FG-301Bのリペアご依頼をいただきました。 フレット交換を含む弦周りのリペアを行いました。

フレット交換

1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。

3.フィンガーボードの平面性を確認します。
4.軽くサンディングします。

5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
6.フィンガーボードのクリーニングが終わり、プレスの準備ができました。

7.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
8.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。

9.フィンガーボード全体に渡って計測します。
10.第一のフレットプレス・ジグです。

11.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
12.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。

13.フレット端を専用のプライヤでバインディング加工します。
14.タング部をカットしたフレット端です。

15.ジグをサウンドホールから入れていきます。
16.フレットをプレスします。

17.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
18.2つ目のジグはこのように固定し、ネジを締めてフレットをプレスします。

19.順にプレスを進めていきます。
20.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。

21.最後のフレットのプレスが終わりました。
22.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。

23.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。
24.カットしたフレット片は見失わないように一カ所にまとめておきましょう。

25.カットしたフレット端です。
26.専用のヤスリ・ブロックを使ってフレット端を整形します。

27.1弦側のフレット端も同じように整形します。
28.整形されたフレット端です。

29.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
30.ボディもアクリル板でカバーしました。

31.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
32.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

33.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
34.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

35.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
36.最後はコンパウンドで磨き上げます。

37.プロテクタ類を外しましょう。
38.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1. 当て木を当てて、コンとたたきます。
2.ナットが外れました。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
14.ナット上部をカットしました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.フレットを6弦側から見た様子です。
26.少し削って、隙間を確認します。

27.6弦のナット高をギリギリまで下げました。
28.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。


ピッチ調整~サドル作製

1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドルピーク位置を書き写しておきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。