ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Morris S-101

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千葉県にお住まいのT.N.さんからMorris S-101のリペアご依頼をいただきました。T.N.さんから3本目のリペアご依頼となります(以前、Epiphone HummingbirdMartin D-28のリペアを行いました)。T.N.さん、ありがとうございます。
Morris S-101はフレットすりあわせ、ブリッジプレートリペア、および弦周りのTUSQ化を行いました。
リペア後のギターを受け取られてT.N.さんから暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ 樋口様

こんにちは。先ほど、ギターの方を受け取りました。早速弾いています。
全体がかなりクリアな音になっていて、弾いていて気持ちがいいです。
またピックアップの取り付けの方、ありがとうございました。依然使っていたものとだいぶ音質が違うので、音作りに試行錯誤していますが、それもひとつの楽しみになりそうです。

合計3本のギター、お世話になりました。
また、樋口さんにお願いをしようと思います。
ありがとうございました。

T.N.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、ありがとうございました。
フィンガーピッキングに特化した調整にご満足頂けて私もとても嬉しく思っています。
ピックアップはオリジナルがアクティブ(プリアンプ内蔵)であったのに対して、今回取り付けたものはパッシブですので、外部機器の対応が若干異なってくるかと思います。

今回も弊工房にギターリペアのご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い致します。


フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチール・ウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。


ブリッジプレート・リペア

1.オリジナル状態のサドルと弦です。
2.弦の巻き部分がサドルに乗りかかっています。

3.ブリッジプレートを確認してみましたが、エンドポールはそれほど食い込んでいません。
4.ブリッジプレートに追加プレートを接着してエンドポールを引き込むことにしました。

5.側面にスロープを付けました。
6.1弦と6弦のブリッジピン穴中央に合わせて位置決め用の穴を空けました。

7.穴にジグを取り付けました。
8.ブリッジプレートにはジグを使って固定します。

9.追加プレートの接着が完了するまでこのまま待ちましょう。
10.追加プレート接着が完了しました。

11.当て木を当ててブリッジピン穴を空けています。
12.ブリッジピン穴が空きました。

13.弦を張りました。
14.リペア後のサドルと弦です。

15.弦の巻き部分はピン穴の奥に入りました。

ナット交換

1. 当て木を当ててコンとたたきます。
2.ナットが取れました。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れました。
14.ナット上部をカットしました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(除去前に読みとって記録しておきます)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.フレットを6弦側から見た様子です。
26.6弦のナット高をギリギリまで下げました。

27.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。

ピッチ調整~サドル作製

1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドルピーク位置を書き写しておきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えたブリッジにサドルを取り付けました。

15.完成したオフセットサドルとブリッジです。

ピックアップ交換

1.装着されていたピックアップを取り外し、NICO-PINの取り付け位置を確認しています。
2.SUNRISEを取り付けました。