ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Chaki P-115

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香川県にお住まいのY.I.さんからChaki P-115のリペアご依頼をいただきました。フレット交換とブリッジ交換を行うことで音色の改善を行いました。

フレット交換

1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。

3.フィンガーボードの平面性を確認します。
4.軽くサンディングします。

5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
6.削り粉を吸い取りましょう。

7.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。
8.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。

9.バインディング処理を行いましょう。切り取ったフレット端はこのようになっています。
10.タング部分をカットする専用のプライヤーです。

11.バインディング処理後のフレット端です。
12.サウンドホールが無いのでハイフレット部分はプレスジグではなく、打ち込みを行います。

13.まず両端を打ち込みます。
14.最後に中央部分を打ち込みます。

15.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でフレット打ち込みを進めていきます。
16.この先のプレスジグはこのように固定します。

17.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
18.順にプレスを進めていきます。

19.残りのフレットはこのジグでプレスしていきます。
20.すべてのフレット打ち込みが終わりました。

21.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
22.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。

23.カットしたフレット端です。
24.専用のヤスリ・ブロックを使ってフレット端を整形します。

25.1弦側のフレット端も同じように整形します。
26.整形されたフレット端です。

27.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
28.フレットのカット片類は見失わないように一カ所にまとめて捨てましょう。

29.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
30.フィンガーボードをカバーしました。

31.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
32.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

33.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
34.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

35.さらに研磨タワシ(#600~#800)で研磨を進めます。
36.最後はコンパウンドで磨き上げます。

37.マスキングテープを剥がしていきます。
38.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1. 当て木を当てて、軽くコンとたたきます。
2.ナットが取り外せました。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.5弦のナット高をギリギリまで下げました。
24.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。


ブリッジ交換(アーチトップ)

1.オリジナルのアーチトップブリッジです。
2.弦の振動がボディにより効率よく伝搬するブリッジに交換しましょう。

3.ボディとブリッジの湾曲度を合わせる必要があります。(ブリッジがボディから浮いています)
4.ブリッジとボディが密着すると弦の振動はボディに効率よく伝わっていきます。

5.Saddlematicというジグを使って大まかなブリッジ位置を設定します。
6.ボディにサンドペーパー(黄色)をマスキングテープで貼ります。(ブリッジはサンドペーパーの上に乗っている状態です)

7.ブリッジ底面の整形にはこのジグを使います。
8.ジグがスライドする部分にマスキングテープを貼り、その上にステンレステープを貼ります。

9.ジグとブリッジをネジで固定しました。
10.ブリッジとジグを一緒にボディの上でスライドさせ、ブリッジ底面の整形を行います。

11.ブリッジ裏にチョークでマーキングをしてサンディングします。
12.このケースの場合、中央部を数ミリサンディングすることでブリッジ全体がボディに密着するようになりました。

13.ブリッジ底面を整形しました。
14.逆光を使って密着度を見ることでブリッジからボディへの弦の振動伝搬を確認します。


ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.サドル溝にアクリル素材を埋め込み、その上にフレット片を乗せてピッチ調整ができるようにします。

3.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
4.ピッチ調整はフレット片を動かすことによって行います。

5.サドル・ピーク位置と目標サドル高を記録しておきます。
6.サドル溝幅に合わせてサドルスラブを切り出します。

7.溝にサドルがピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.完成したオフセットサドルとブリッジです。