ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Morris SJ-171

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千葉県にお住まいのH.Y.さんからMorris SJ-171のリペアご依頼をいただきました。弦周りのTUSQ化を行い、詰まり気味だった音色が、ストレートにボディから奏でられるようになりました。以前、H.Y.さんからMorris W-40のリペアご依頼をいただいており、これで2本目のリペアとなります。H.Y.さん、ありがとうございます。

リペア後のギターを受け取られて、H.Y.さんから早速暖かいメッセージをいただきました。

ギター工房オデッセイ 樋口様

お世話になります。本日、ギターが無事に届きました。

さっそく生音を試してみましたが、すぐにわかったことはご指摘にあった高音の伸びです。
中域~広域にかけてサスティーンがとても良くなっています。

全体に箱鳴り感も増して、本来このギターの持つスペック通りの音色を奏でているのが良く分かりました。

ナットの溝幅もオリジナルより若干、狭めて頂きましたが、これもジャストフィット!

演奏性も自分の指にピッタリあった調整で無理なく弾けるようになっています。

また、心配していたテンション感ですが、これも全く問題ありません。
おすすめ頂いたピン穴加工も施工して頂いて大正解でした。

透明ピックガードの形もトップに影響の少ない最小限の大きさでデザインのシェイプもグッドです!

いろいろ細かいわがままを聞いて頂きその結果にとても満足しております。
また、機会がありましたら、ぜひよろしくお願い致します。

H.Y.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

ナットの弦溝間隔がフィットされているとのことをお聞きして、とても安心致しました。
今回のリペア前後の音色の激変には、私もかなり驚かされました。
おっしゃるとおり、高音域の伸びと箱鳴り感が大きくなったと思います。
これから弾き続けるにつれて、更に熟した音色に変わっていくのではないかと思います。
H.Y.さんのギターライフの中でSJ-171が活躍することをお祈りしております。

この度は弊工房にギターリペアのご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い致します。


ナット交換

1. 当て木を当てて、軽くコンとたたきます。
2.ナットが取り外せました。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング後のナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルで平面を削りだしていきます。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。(6弦を0.5mm中央に寄せました)

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.2弦のナット高をギリギリまで下げました。
24.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。


ピッチ調整~サドル作製

1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドルピーク位置を書き写しておきます。
4.サドル溝幅に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.フラットファイルで平面を削りだしていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.完成したオフセットサドルとブリッジです。
16.