Martin O-17 戻る 京都府にお住まいのシンガーソングライター野田淳子さんからMartin O-17(1943年製)のリペアご依頼をいただきました。野田淳子さんからは前回Martin OO-45のリペアご依頼をいただいており、2本目のギターリペアとなります。 野田さん、ありがとうございました。
フレットすりあわせ 1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。 2.ボディもアクリル板でカバーしました。 3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。 4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。 5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。 6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。 7.さらに研磨タワシ(#600)で研磨を進めます。 8.研磨タワシ(#800)で仕上げた後、コンパウンドで磨き上げます。 9.プロテクタ類を外しましょう。 10.ピカピカのフレットになりました。
ブリッジプレート・リペア 1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。弦のエンドポールが食い込んでしまう状態になっています。 2.メイプル材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。 3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておき、位置決めのためにポンチで凹みを入れています。 4.更にプラグの中央にポンチで印を入れた後、小穴を開けます。 5.小穴があいたプラグです。まだ、ローズウッド材に固定されています。 6.切り出し終えたプラグたちです。 7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。 8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。 9.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。 10.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。 11.1弦の凹み加工が終わった様子です。 12.同様にして3,5弦の凹み加工も行いました。 13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。 14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。 15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。 16.1弦のプレート凹み部分にプラグを接着しました。小ネジは少し引き上げてプラグを固定した後、緩めとります。 17.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。 18.ワックスペーパーと当て木を挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。 19.1,3,5弦のプラグ固着後、同じように2,4,6弦のプラグ接着を行います。 20.6弦すべてのプラグ接着を終えました。 21.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。 22.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。 23.プラグにブリッジピン穴を開けました。 24. 弦を張りました。エンドポールがプレートの上にしっかり固定されています。
ナット交換 1. 当て木を当てて、軽くコンとたたきます。 2.ナットが取り外せました。 3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。 4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。 5.クリーニング完了したナット溝です。 6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。 7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。 8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。 9.1弦側からもナットの密着を確認します。 10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。 11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。 12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。 13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。 14.ナット上部を切り取りました。 15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。 16.ナットらしくなってきました。 17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります) 18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。 19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。 20.弦高調整前のナットです。 21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。 22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。 23.6弦のナット高をギリギリまで下げました。 24.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
ピッチ調整~サドル作製 1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。 3.サドルピーク位置を書き写しておきます。 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。 6.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。 7.サドル高の切り出しを終えました。 8.サドル上部にピーク位置を書き写します。 9.サドルピーク位置を削りだしていきます。 10.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。 11.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。 12.ブリッジピン穴加工を終えました。 13.ブリッジにサドルを取り付け、弦を張りました。 14.ロングサドルのスロープ加工を行います。 15.大まかにサイドスロープを半丸ヤスリで削り出します。 16.ブリッジにマスキングテープを貼り、ルータの円錐ビットでギリギリまで削り込んでいきます。 17.サイドスロープができあがりました。 18.完成したオフセットサドルとブリッジです。
ペグ交換 1.オリジナルペグです。ギアがすり減っており、チューニングに支障がありますので、新品に交換します。 2.古いペグを取り外しました。 3.全く同じ形状のペグを取り付けました。 4.弦を張りました。チューニングもバッチリです(笑)!