ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Cat'sEye TCM-50V

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埼玉県にお住まいのK.S.さんからYAMAKI W-70とCat'sEye TCM-50Vのリペアご依頼をいただきました。
リペア後のギターを受け取られて、K.S.さんからとても暖かいメッセージが届きました。

ギター工房オデッセイ 樋口様

K.S.です
この度はお世話になりました。
本日、ギターが届きました。

早速、いつもの様にチューニングをしてみるとこの時点で音の伸びに変化を感じました。適当に‘ジャラーン‘と鳴らしてみると、完全に生まれ変わっていました。2台とも弾きやすく、低音のふくらみが豊かになり、すごくいい気持ちにさせてくれます。

特にYAMAKIの方は音量がアップして、とてもきれいな音を奏でてくれるようになり迫力が付きました。
このギターは、諦め掛けていただけに大変うれしいです(これほど変わるとはびっくり)。頼んでよかったと心より思います。

ギターは、やはり楽しい楽器ですね。改めて感じました。樋口様のお陰です。ありがとう!

また、これからもその際は、宜しくお願いします。
樋口様の益々の御発展を期待しております。

K.S.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
両ギターとも、その音色にご満足頂けて安心致しました。
YAMAKI、CatsEyeとも、日本の古き良き時代に製作されたものだけあって、とても贅沢な部材が使用されておりました。
特にYAMAKIの激変ぶりは私も驚きました。サドル溝の整形が功を奏したのではないか、と思っています。
これからも両ギターと共に素晴らしいギターライフを送ってください。
この度は弊工房にリペアのご依頼を賜り、本当にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。


フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらに研磨タワシ(#600~#800)で研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1. 当て木を当てて、軽くコンとたたきます。
2.ナットが取り外せました。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.6弦のナット高をギリギリまで下げました。
24.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。


サドル交換(ピッチ調整、ブリッジピン穴加工含む)

1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドルピーク位置を書き写しておきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブの厚みを削りだします。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付け、弦高調整を行います。この段階ではまだロングサドルのサイド・スロープ加工は行っていません。
16.サドル高が確定したところで、サイドスロープを粗く削ります。

17.仕上げ加工の前にブリッジにマスキングテープを貼ります。
18.ミニルーターに円錐ダイヤモンドビットを取り付けて、飛び出した部分を削っていきます。マスキングテープに触れるか触れないかギリギリのところで止めます。

19.仕上げを終えたサイドスロープです。
20.1弦側もブリッジ面とツライチになりました。

21.オフセット・ロングサドルの完成です。
22.弦を張りました。

サドルのサイド・スロープをミニ・ルーターで整形加工している様子です。