ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Morris MD-525M

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京都府にお住まいのJ.O.さんからMartin D-18とMorris MD-525Mのリペアご依頼をいただきました。両ギターともフレット交換を含む弦周りリペアを行いました。
リペア後のギターを受け取られてJ.O.さんからとても暖かいメッセージが届きました。

こんばんは、京都のJ.O.です。
この度は、お世話になります。
早々にギターを発送していただきありがとうございました。

本日、無事にギターを受け取りました。
早速、時間を忘れるくらい、弾かせていただきました。
最初に思ったのは、2台ともチューニングがとてもスムーズでびっくりいたしました。
音質は高音の響きがとてもきれいで、低音はボディーがすごく響いて、これが箱鳴りなんだと、思いました。それと倍音がすごいです。
この2台のギターが本来持っている音を引き出していただいたんだな~って思いました。弦高も低くしていただき、とても弾きやすくなってうれしいです。
樋口様にリペアしていただいた2台のギター、これから数十年大切に弾いていきたいと思います。
思っていることを文章にするのは本当に難しいです(笑)すみません。

この度は樋口様に修理をお願いして本当に良かったと思っております。
これからもどうぞよろしお願い致します。

J.O.さん、早速のとても暖かいメッセージをいただき、ありがとうございました。
リペア後のギターの音色にご満足されたとのことをお聞きして、とても嬉しい気持ちです。

今回、J.O.さんの2本のギターをリペアさせていただく間、J.O.さんのプレイされる姿を想像しておりました。特に限界まで下げた弦高が音色、音量とのバランスへどの程度影響するか少し心配でした。でも、リペア後はその心配をよそに、J.O.さんのおっしゃるとおり、ギター達は素晴らしい音色を奏でてくれるようになりました。
これからもD-18,MD-5252Mと一緒に素晴らしいギターライフを送ってください。

この度は弊工房にギターリペアのご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い致します。


フレット交換

1.フレットを抜いていきましょう。はんだごてでフレットを暖めながらゆっくり抜いていきます。
2.フィンガーボードを傷つけないように最後までゆっくりと抜いていきます。

3.フィンガーボードの平面性を確認します。
4.軽くサンディングします。

5.フレット溝の中のゴミ類を削り出します。このときもフレット溝エッジを傷つけないように注意します。
6.ここで一旦削り粉をクリーニングしましょう。

7.フレット打ち込みの準備が整いました。
8.フレットベンダーでフレットにアールをつけていきます。

9.フレットをフィンガーボード幅よりも少し大きめに切り取ります。
10.フィンガーボードの湾曲度(アール)を計測します。

11.アールにあった先端ビットをジグのプレス部に固定します。
12.第一のフレットプレス・ジグです。

13.ジグをサウンドホールから入れていきます。
14.フレットをプレスします。

15.ボディとネックの接合部分付近まで、この要領でプレスを進めていきます。
16.2つ目のジグはこのように固定します。

17.ネジを締めてフレットをプレスしていきます。
18.順にプレスを進めていきます。

19.3つ目のジグで残りのフレットをプレスしていきます。
20.すべてのフレット打ち込みが終わりました。

21.打ち込み終わったフレットの端は飛び出ています。
22.飛び出した部分をカットします。このとき切れ端が行方不明にならないように指先で受けます。

23.カットしたフレット端です。
24.専用のヤスリ・ブロックを使ってフレット端を整形します。

25.1弦側のフレット端も同じように整形します。
26.整形されたフレット端です。

27.さらにフレット・エンド・ドレッシング・ファイルでバリを取っていきます。
28.引き続いてフレットすりあわせを行いましょう。マスキングテープでフィンガーボードを保護します。

29.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
30.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

31.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
32.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

33.さらに研磨タワシ(#600~#800)で研磨を進めます。
34.最後はコンパウンドで磨き上げます。

35.プロテクタ類を外しましょう。
36.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1. 当て木を当てて、軽くコンとたたきます。
2.ナットが取り外せました。

3.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。

11.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
12.ナット上部を切り取りました。

13.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
14.ナットらしくなってきました。

15.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
16.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

17.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
18.弦高調整前のナットです。

19.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
20.ストリングリフターで弦を待避させておきます。

21.ナット溝を徐々に下げていきます。
22.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。


ピッチ調整~サドル作製

1.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドルピーク位置を書き写しておきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.糸鋸加工を終えたブリッジピンです。
14.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。

15.ブリッジピン穴加工を終えました。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。