Lawden 025C 戻る 静岡県にお住まいのT.S.さんからLawden 025Cのリペアご依頼をいただきました。ブリッジが剥がれていましたので、ボルトによる固定、弦周りのTUSQ化、およびフレットすりあわせを行いました。
ブリッジ剥がれリペア(ボルト固定) 1.ギターが工房に届いた時、ブリッジが剥がれていました。(2つの穴はピックアップ用の穴です) 2.ブリッジピンがないタイプ(ブリッジに弦のエンドポールを固定するタイプ)です。 3.ブリッジをボルトで固定します。ボルト穴位置を検討している状態です。(白いものはパール・インレイです) 4.ボルト位置が決まったところで、正確な位置決めマーク用に修正ペンを塗ります。 5.更に正確に穴空け位置を書き込みます。 6.台座の当て木にブリッジを固定して、ドリル刃の位置を確定します。 7.ブリッジ(台座)とドリル刃の相対位置は変えずに、刃をルーターのストレートビットに替えます。 8.当て木を当てたままストレートビットで穴を空けます。 9.更に同径のドリルビットで底面を円錐型に削ります。 10.底面の円錐加工が終わりました。 11.同様にして他の2つの穴(凹み)も空けました。外径は中央がφ8mm、左右がφ6mmです。 12.穴はそのまま(貫通しない状態)でブリッジを接着します。 13.クランプで固定し、あふれた接着剤(膠:ニカワ)をふき取ります。 14.マスキングテープを外し、固着待ちします。 15.固着完了したブリッジです。 16.固着した状態で、3つの貫通穴を空けます。穴径は中央がφ4mm、左右がφ3mmです。 17.ボルトで固定しました。ボディ内はワッシャ、バネワッシャ、ナットで固定します。 18.次にボルト穴のキャップを作りましょう。丸材にローズウッド材を接着します。 19.丸材の径に合わせてローズウッド材を丸く加工します。 20.ブリッジのピッタリはまるように丸く加工します。 21.3つの穴にローズウッド材がピッタリはまるようになりました。 22.ローズウッド部分を残してカットしました。 23.飛び出た部分を削っていき、更に軽くサンディングします。 24.ローズウッドキャップができあがりました。 25.ブリッジ固定が完成しました。 26.サドルを取り付け、弦を張りました。
ナット交換 1.ほとんど接着剤が剥がれた状態です。 2.古い接着剤の跡を削り取っていきます。 3.クリーニング完了したナット溝です。 4.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。 5.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。 6.ナット溝にピッタリはまるようになりました。 7.1弦側からもナットの密着を確認します。 8.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。 9.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。 10.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。 11.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。 12.ナット上部を切り取りました。 13.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。 14.ナットらしくなってきました。 15.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。 16.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。 17.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。 18.弦高調整前のナットです。 19.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。 20.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。 21.1弦のナット高をギリギリまで下げました。 22.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
ピッチ調整~サドル作製 1.サウンドホールにチューナーを取り付け、サドル溝の上にアクリル板を載せ、フレット片を鹿ってピッチ調整を行います。 2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、フレット片を移動して、サドルピーク位置を調整します。 3.サドルピーク位置と目標弦高を書き写しておきます。 4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。 5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。 6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。 7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。 8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。 9.サドル高のの切り出しを終えました。 10.サドル上部にピーク位置を書き写します。 11.サドルピーク位置を削りだしていきます。 12.分離型オフセットサドルが出来ました。
フレットすりあわせ 1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。 2.ボディもアクリル板でカバーしました。 3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。 4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。 5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。 6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。 7.さらに研磨タワシ(#600~#800)で研磨を進めます。 8.最後はコンパウンドで磨き上げます。 9.プロテクタ類を外しましょう。 10.ピカピカのフレットになりました。