ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Gibson J-100

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広島県にお住まいのT.S.さんからGibson J-100のリペアご依頼を頂きました。オリジナル状態ではサドルとブリッジの接触状態が良くなかったため、コモリがちの音でしたが、リペア後は輪郭のはっきりした音色を奏でてくれるようになりました。
リペア後のギターを受け取られて、T.S.さんからとても暖かいメッセージが届きました。

本日ギター受け取りました。

早速弾いてみましたが、「もともとはこんな音だったのか」と思わせられるほどナチュラルな響きになっており、感動しました。

今まで懸念だった弦高のほうもパッと見、あまり変わっていないように見えましたが、弾いているうちに今までバズっていた4弦も解消されており、同時にとても弾き易く仕上がっていることに気付き、大満足です。

Webの日記も動画まで載せて頂き、自分のギターがリペアされている様子(サドルの平面を出しているところ)をドキドキ(笑)して見させて頂きました。
今後またこのギターのフレット、ナットがすり減った際は樋口様にリペアお願いしたいと思います。
この度は有難うございました。

T.S.さん、暖かいメッセージをいただき、ありがとうございました。リペア後のJ-100にご満足頂けて、私もとても嬉しい気持ちです。

今回のリペアでは、フレットすりあわせによって、ビビリを解消し弦高を低下することができたという点と、サドル溝(側面)を加工することによって弦の振動が効率的にボディに伝搬できるようになったという点の二つが大きな要因かと思います。

これからもT.S.さんがJ-100と共に素晴らしいギターライフを送られることをお祈りしております。
この度は弊工房にリペアのご依頼を頂き、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。


フレットすりあわせ

1.まず、マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングし、平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらに研磨タワシ(#600→#800)で研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。


ナット交換

1.オリジナルナットは接着が外れていました。
2.ナットが取り外せました。

3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットができあがりました。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.5弦のナット高をギリギリまで下げました。
24.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。


サドル溝再加工~ピッチ調整~サドル作製

1.オリジナルのサドル溝です。写真からはわかりにくいのですが、溝の左側の壁がブリッジに対して垂直ではなく、斜面となっています。
2.サドル溝再加工を行って、溝の切り直しを行います。まず、ジグを取り付けました。

3.トリマを使ってサドル溝を掘りなおしています。
4.垂直なサドル溝の加工ができました。

5.ブリッジにイントネーター、サウンドホールにチューナーを取り付けました。
6.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

7.サドルピーク位置と目標弦高を書き写しておきます。
8.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

9.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
10.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

11.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
12.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

13.サドル高のの切り出しを終えました。
14.サドル上部にピーク位置を書き写します。

15.サドルピーク位置を削りだしていきます。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。