ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Ibanez AW-70

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福島県にお住まいのO.A.さんからIbanez AW-70のリペアご依頼をいただきました。
ブリッジ浮きの修理をはじめとする、経年消耗リペアを行いました。リペア後にギターを受け取られて、早速O.A.さんから暖かいメッセージをいただきました。O.A.さん、ありがとうございました。

昨日、半日ぐらい弾いておりました。ブリッジ浮きを知ってから、長くしまっておいたので、案の定最初は鳴りませんでしたがが、徐々に調子が出てきました。

30年選手の乾いた音、マホボデーの明るい音、何よりサスティーンが出て低音の締りが出ました。職人の技に脱帽です。

このたびは、ナット及びサドルは作り変えリプレイスを行いませんでしたが、オリジナルのものの最適化というものは、こういうことなのか?と改めて思い知らされた次第です。また、ペグの裏蓋のアルミ板削りだし装着、無理を聞いていただきました。本当にありがとうございました。

フラメンコギターの方は、まだ弦を新品に変えていないのですが、適度なテンションが得られるサドルを作っていただきました。お古の弦でも、全く音の張りが違うことが分かります。2丁とも、これからまだまだ老後(笑)まで楽しめそうです。クラフツマンシップ溢れる素晴らしい仕事ありがとうございました。

O.A.さん、とても暖かいメッセージを頂きありがとうございました。O.A.さんのギターライフの傍らでAW-70が活躍することをお祈りしております。
この度は弊工房にリペアのご依頼を頂き、誠にありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願い致します。


ブリッジ脱着

1.ブリッジのオリジナル状態です。ボトム側に浮きが見られました。
2.ブリッジを取り外して、再接着します。

3.ブリッジの周囲の輻射熱保護を行った後、ラバーヒーターをブリッジに乗せます。
4.ヒーターをクランプで固定し、ヒーターの上にスポット温度計をのせました。

5.徐々にブリッジの温度を上げていき、ブリッジ接合部分の温度が上がったところで、隙間にナイフを差し込んでいきます。
6.ブリッジを取り外しました。

7.ブリッジ下をサンディングブロックでクリーニングします。
8.ブリッジの裏側も同じようにクリーニングします。

9.再接着準備ができました。
10.ブリッジ裏にHideGlue(ニカワ)を塗ります。

11.あらかじめ位置決め用に貼っていたマスキングテープに合わせてブリッジをそっと置きます。
12.ブリッジプレートを保護するアクリル板をボディ内に入れます。

13.ブリッジをクランプし、あふれたニカワをふき取って、固着を待ちます。
14.ボディ内のアクリル板はこのようにクランプによって固定されています。


ペグ・リペア(裏蓋)

1.ヘッド部裏側です。
2.6弦のペグ裏蓋がはずれています。

3.できあがりの裏蓋の直径を測っています(12.2mmです)。
4.厚さ1mmのアルミ板を切り出しました。これを丸く削っていきましょう。

5.徐々に円形を削りだしていきます。
6.円形になりました。ペグにはめてみましょう。

7.少し大きめでした。もう少し小さくしましょう。
8.今度はぴったりです。

9.接着する前にペグ内側の汚れを綿棒で切れに拭き取りましょう。
10.金属同士を接着するゴルフクラブ用のエポキシ接着剤です。

11.ペグの内側に2液を混合した接着剤を薄く塗ります。
12.先ほど削りだしたアルミ板を固定して固着を待ちましょう。


ブリッジピン穴加工

1.ご支給頂いたブリッジピンです。穴に対して太いピンですので、ピン穴を加工します。
2.ブリッジピン穴用のリーマーで少しだけ穴を大きくします。

3.ぴったりはまるようになりました。
4.6個のピン穴を同様にして加工します。

5.引き続いて、弦の導出口をサドル側へ引き寄せる加工を行います。まず糸ノコの刃で溝を掘ります。
6.糸ノコ加工を終えたブリッジピン穴です。

7.さらにミニルーターで溝の角度と太さを加工していきます。
8.ブリッジピン穴加工が完了しました。


ナット・サドル調整

1.オリジナルサドルです。サドル山が太すぎますので、ピン穴側は放物曲面に、サウンドホール側は45度傾斜平面にしましょう。
2.サドルピーク位置は維持したまま削っていきます。

3.イメージ通りに加工できました。
4.オリジナルナットの弦溝も調整します。