ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

YAMAKI 140

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大阪府にお住まいのT.T.さんからYAMAKIのビンテージギター2本のリペアご依頼をいただきました。一本目はYAMAKI 140です。(もう一本はR-1000です)

リペア後のギターを受け取られて、早速T.T.さんからとても暖かいメッセージが届きました。

ギター無事に届きました、有り難うございました。

私にとって、今回が初めてのリペアでしたのでギターがどんなふうに変わるか不安でしたが、140,R-1000とも、リペア前よりも、良くなって帰ってきました。

樋口マジックですね!
両方と弾きやすく、音もボディ全体で響いてります。

買った時より良い音になり、傷も治り、ギターにはリペアが必要だと思いました。満足しました!

特に140は安価なギターでしたので余り期待はしなかったのですが、別のギターに変わっていましたね。
ギターを弾くのが、ますます楽しくなりました!
樋口さんにお任せして良かったです。
有り難うございました。
次回も宜しくお願いします!

T.T.さん、とても暖かいメッセージをいただき、ありがとうございました。
今回のリペアで、両ギターともかなりの改善が見られたと思います(潜在していた音色が出るようになっただけですが・・・(笑))。まだまだバリバリで現役で活躍することを楽しみにしております。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い致します。ありがとうございました。


ピックガード交換

1.オリジナルピックガードの浮き部分にナイフを入れます。
2.ナイフはピックガードに当たるようにゆっくりと動かしていきます。

3.オリジナルピックガードの取り外しが終わりました。
4.粘着シートがボディ側に分厚く残っています。

5.粘着除去材を使って粘着材を取り除いていきます。トップ板を傷つけないように、少しずつはがしておきます。
6.最後の粘着材まできれいに取り除いていきます。

7.ボディ側の粘着材が切れに取り除けました。
8.TOR-TIS素材をオリジナルピックガードより少し大きめに切り出しました。ドライヤーで暖めて平面にします。

9.オリジナルピックガードに両面テープを数カ所貼り・・・。
10.新しいピックガードに貼り付けます。

11.はみ出た部分を・・・。
12.ヤスリで削っていきます。(横から見た写真です)

13.両面粘着シートを大きめにカットして、ピックガードに貼り付けます。
14.左から、オリジナル、新しいピックガード、そして粘着シートです。

15.はみ出た部分をカットしていきます。
16.新しいピックガードの完成です。


ナット交換

1.ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
2.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

3.クリーニング完了したナット溝です。
4.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

5.ナットの厚みを出し、ナット取り付け位置に密着することを確認します。
6.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

7.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れ、上部を切り取りました。。
8.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。

9.ナットらしくなってきました。
10.オリジナルナットから弦溝位置を読みとります。

11.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。
12.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。

13.弦高調整前のナットができあがりました。
14.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。

15.ストリングリフターで弦を待避させておきます。このジグのおかげで弦を緩めたり張ったりすることが必要なくなりました。
16.ナットの弦溝を徐々に掘り下げていきます。削っては隙間を確認し、の繰り返しを行います。

17.6弦のナット高をギリギリまで下げました。
18.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。


ピッチ調整~サドル作製

1.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。
2.調整後のサドルピーク位置と目標弦高を書き写しておきます。

3.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。
4.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。

5.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。
6.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。

7.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。
8.サドル高のの切り出しを終えました。

9.サドル上部にピーク位置を書き写します。
10.サドル山を削りだしていきます。

11.弦高調整前のオフセットサドルができあがりました。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.糸鋸加工が終わったブリッジ・ピン穴です。
14.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。

15.ブリッジピン穴加工を終えました。
16.完成したオフセットサドルとブリッジです。


塗装レタッチ

1.トップ板に2カ所深めの打痕跡があります。
2.ペーストを埋めたあと、着色、オーバーラッカーすることにします。

3.バックボードには塗装の割れがあります。
4.まずシェラックニス(スーパーブロンズ)で木地をコーティングします。

5.バックボードも同様です。
6.バックボードはこれだけでほとんど目立たなくなりました。

7.ニスが乾いたところで、ペーストを打痕跡に埋め込んでいきます。
8.ペーストが乾いたところでシェラックニス(ブロンズ)を数回塗り、周囲と同じ日焼け色に着色します。

9.最後はオーバーラッカーします。
10.数日間ラッカーを乾燥させ、盛り上がった部分を安全カミソリの刃で削っていきます。

11.水研磨~コンパウンド処理を行いました。
12.こちらはトップ板、もう一カ所の跡です。

13.バックボードもオーバーラッカーして、研磨処理を行いました。