ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Morris W-40

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千葉県にお住まいのH.Y.さんからMorrisのビンテージ・ギターW-40のリペアご依頼をいただきました。
弦周りパーツのTUSQ化を行いました。

リペア後はビンテージ特有の箱鳴り感が更に増して、素晴らしい音色を奏でてくれるようになりました。

リペア後のギターを受け取られて、H.Y.さんからとても暖かいメッセージをいただきました。W-40がH.Y.さんのギターライフで活躍することをお祈り致しております。

この度は弊工房にギターリペアご依頼を賜り、誠にありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

先ほど帰宅して届いたギターを弾いてみました。

30年以上経って、もはや部屋のインテリアに近い状態になっていましたが お陰さまで、また生き返ったようです。
特に高音の鈴鳴りと低音のサスティーン&音量が増しているのがすぐにわかりました。これは弾いていて楽しいです。

またHPで作業工程が確認できるのも見ていて安心できました。
また他のギターでお世話になることがあるかと思います。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。
ありがとうございました。


ナット溝クリーニング~ナット交換

1. ナットを外しました。比較的きれいなナット溝です。少量の接着剤が見られます。
2. よく研いだ彫刻刀でこすると、カリカリになった古い接着剤が取れていきます。

3.クリーニングが終わったナット溝です。
4.ナットスラブをネック幅に合わせて切り出します。

5.ナットをそのままつけると1弦側に隙間があることがわかりました。フィンガーボードの経年収縮か、前回のリペアの影響に依るものと思われます。
6.逆光を使ってみてみると隙間の様子がよくわかります。

7.フィンガーボードの歪みを埋木します。埋木が不要な部分にマスキングテープを貼ります。
8.フィンガーボードの1弦側にローズウッド・ペーストを塗っていきます。

9.ワックスペーパーを挟んでナットをクランプします。
10.埋木処理後の様子です。隙間が埋まったことがわかります。(1弦側のバインディングの収縮へは埋木はしていません)

11.横からも隙間のないことを確認します。
12.フィンガーボード側からも密着を確認したあと、フレット高にあわせてケガキ線を入れます。

13.ナット上部をカットしました。
14.ヘッド側の放物曲面を削りだしていきます。弦の接触面積とペグからの突入角度をイメージしながら削り出します。

15.ヘッド側の加工が終わりました。ナットらしくなってきました。
16.オリジナルサドルから弦溝ピッチを読みとっていきます。弦溝加工専用の定規を使っています。(低音弦になるほど弦溝間隔が広くなっています)

17.読みとった弦溝位置を新しいナットにマーキングしていきます。
18.弦溝専用のヤスリで掘っていきます。ヤスリの幅は弦ごとに違っており、使用する弦のゲージで決定します。

19.弦高調整前のナットです。
20.弦高調整(ナット高調整)を行います。2フレットを押さえて、弦と1フレットの隙間を縮めます。

21.ストリングリフターで弦を待避しておきます。
22.ナットファイルで少しずつ弦溝を低くしていきます。

23.ギリギリのところで止めておきます。
24.弦高調整を終えたナットです。


サドル作製~ブリッジピン穴加工

1. サドルスラブをサドル溝の幅に合わせて切り出します。
2. サドル底面の平面出しをフラットファイルで行います。

3. サドル溝にぴったりとはまる厚みになりました。
4. 目標弦高に合わせてサドルを切り出しました。

5. サドル山の切削加工を行います。
6. サドル山を削り出しました。

7. 弦高調整後のサドルです。