ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Morris S-106

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香川県にお住まいのH.K.さんからMorris S-106のリペアご依頼をいただきました。
このシリーズはオリジナルパーツもTUSQ素材が使用されておりますが、今回は新規にナット・サドルを作製・交換しました。
リペア後のギターを受け取られて、H.K.さんから暖かいメッセージが届きました。H.K.さん、ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

本日、お送りいただいきましたギター到着致しました。
有難うございます。

早速、逸る心を抑えましてギターケースを開けました。
ギターを取り出しチューニングを開始しましたところ「?」
前と何かが違う?まず、弦張りが良くなったそのためか一音一音の粒立ち違います。しかし、まだ何かが違う?
「妻が音が小さくなったんじゃない?」そういえば・・・

確かに全体のボリュームよりも音がまとまっているそんな感じです。
それも、ほんの数分でわかりました。リペアーに出す前は特に低音部の6,5、4弦の音の輪郭が呆けておりそのため、トップが共鳴していたので大きく感じられていたみたいです。

アンプにつないで音を出しますと「ボアン、ボアン」した音が出て調整が大変でした。(生音ですと音が大きく感じられます)
生音はとても綺麗なハッキリとした音に変わりミスタッチもごまかせなくなりましたが・・・。
(妻もアンプからの音が「綺麗!生音も耳にざわりじゃないね。」とのコメントです)

ギターの上手な方が高い値段で手工品を買う理由がわかりました。
既製の商品では誰でも無難に弾きそれなりの値段の音が出るように作られているのが今回わかりました。
そして、ギターのそのものの音色は自分自身で育てていくのだと痛感致しました。

丁寧に弾きますと音一つ一つが踊っているような音になり弾いていまして本当楽しく彩りのある音になりました。弾き込んで角が取れた音になったらどんな素晴らしい音になるか楽しみですね。(手工品と変わらないと思います)

只今、Dタイプのギターを物色中なので今度も又リペアーをお願い致します。
本当に有難うございました又よろしくお願い致します。


ナット溝クリーニング~ナット交換

1. ナットを外しました。薄く接着剤の跡が残っています。
2. よく研いだ彫刻刀でこすると、古い接着剤が取れていきます。

3.クリーニングが終わったナット溝です。
4.ナットスラブをネック幅に合わせて切り出します。

5.ナットの接触面の平面出しをしています。
6.ナット加工を始める前に、この段階でナット溝に密着していることを確認しておきましょう。(いい音になるポイントです!)

7.逆光を利用するとわずかな隙間も見つけることができます。隙間がなくなるまでナット底面・側面を調整していきます。
8.フィンガーボード側からも密着を確認したあと、フレット高にあわせてナット上部をカットしました。

9.ヘッド側の放物曲面を削りだしていきます。弦の接触面積とペグからの突入角度をイメージしながら削り出します。
10.ヘッド側の加工が終わりました。ナットらしくなってきました。

11.オリジナルサドルから弦溝ピッチを読みとっていきます。弦溝加工専用の定規を使っています。(低音弦になるほど弦溝間隔が広くなっています)
12.読みとった弦溝位置を新しいナットにマーキングしていきます。

13.弦溝専用のヤスリで掘っていきます。ヤスリの幅は弦ごとに違っており、使用する弦のゲージで決定します。
14.弦溝を掘り終えました。弦高調整前のナットです。

15.弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて、1フレットと弦がぎりぎりまで近づくようにナット高を調整します。
16.ストリングリフターで弦を待避しておきます。

17.弦溝専用ヤスリで少しずつ溝を深く掘っていきます。このときも弦とナットの接触イメージをしながら作業を進めます。
18.もう少し、というところで止めておきます。

19.ナットを溝に接着した後、最終調整してナットの完成です。

サドル作製~ブリッジピン穴加工

1. サドルスラブをサドル溝の幅に合わせて切り出します。
2. サドルとブリッジの接触面の平面を出していきます。

3. サドル溝にぴったりとはまる厚みになりました。
4. 一旦サドルをはずし、イントネーターとチューナーを取り付けました。

5. すべてのフレットについて最適なサドル山位置を調整していきます。
6. サドル山位置と算出されたサドル高を紙に控えておきます。

7. サドルを目標高に合わせて切り出しました。
8. サドル山位置をサドルの上面に書き写します。

9.サドル山を削りだしていきます。
10.オフセットされたサドル山が完成しました。

11.ブリッジピン穴加工です。まず、糸鋸の刃で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
12.糸鋸加工が終わったピン穴です。

13.ミニルーターで溝を太くするとともに、角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工が終わりました。

15.最終調整を終えたサドルです。