ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

ALVAREZ by K.Yairi YF-40

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大阪府にお住まいのM.Y.さんからALVAREZ by K.Yairi YF-40のリペアご依頼をいただきました。
ブリッジ周辺のリペア(ブリッジプレート、ブリッジピン穴)と弦周りパーツの牛骨化を行いました。
リペア後は牛骨特有のふくよかな音を奏でてくれるようになりました。
リペア後のギターを受け取られて、M.Y.さんから暖かいメッセージが届きました。
M.Y.さん、ありがとうございました。
お子様が大きくなられた時にも、アルバレズがご家族を見守ってくれるよう、お祈りしております。
今後ともよろしくお願い致します。

本日無事にギター受け取りました。
なんだかホッとしますね。
チューニングしてみると「ん?こんなにビシッと決まったっけ?」
爪弾いてみて「ん?今まで聞こえてこなかった音が聞こえるぞ?」
弦高もリクエスト通りや・・・。

まだ子供が小さいので1日のうちでギターに触れる時間など知れているのですが、その僅かな時間を豊かなものとして過ごせそうです。

ありがとうございました。


ブリッジ周辺リペア(ブリッジプレート、ブリッジピン穴)

1.リペア前の状況です。ブリッジピンが奥まで入っていません。
2.また、弦の巻き部分がブリッジ上部まであがってきています。

3.メイプル材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。
4.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。

5.プラグの中央にポンチで凹みを入れます。
6.凹み部分に小穴を開けます。

7.小穴があいたプラグです。まだ、メイプルボードに固定されています。
8.切り出し終えたプラグたちです。

9.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
10.次にブリッジプレートの凹み加工を行います。このカッターを使います。

11.ボディ内にカッターを入れます。
12.まず、1,3,5弦のブリッジプレートを加工します。

13.カッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。
14.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。

15.1,3,5弦の凹み加工が終わった様子です。
16.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。

17.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。
18.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。

19.プラグをプレートに押しつけた状態です。この小ネジを少し引き上げてプラグを固定した後、ネジを緩めとります。
20.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。

21.ワックスペーパーと当て木を挟んでマグネットクランプした後、固着を待ちます。
22.翌日、同様にして2,4,6弦のプラグ接着を行います。写真は2弦のブリッジプレートをカットしている様子です。

23.2,4,6弦の凹み加工が終わりました。
24.6弦すべてにプラグ接着を終えました。

25.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
26.プラグにブリッジピン穴を開けました。

27.引き続き、ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸ノコの刃で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。
28.更にミニルーターで幅と角度をつけていきます。

29.弦の導出口加工ができあがりました。
30.最後にブリッジピン穴径を大きくします。専用のリーマーを使います。

31.少しずつ掘っていきます。
32.ブリッジ周辺のリペア完了です。

ナット溝クリーニング~ナット交換

1. ナットを外しました。比較的きれいなナット溝です。少量の接着剤が見られます。
2. よく研いだ彫刻刀でこすると、古い接着剤が取れていきます。

3.クリーニングが終わったナット溝です。(ヘッド部のインレイの反射光でデジカメのホワイトバランスがおかしくなってしまいました。すいません)
4.ナットスラブをネック幅に合わせて切り出します。今回はVintageBone素材を使用しました。

5.ナット溝にピッタリはまったナットです。
6.ナット加工を始める前に、この段階でナット溝に密着していることを確認しておきましょう。(いい音になるポイントです!)

7.逆光を利用するとわずかな隙間も見つけることができます。隙間がなくなるまでナット底面・側面を調整していきます。
8.フィンガーボード側からも密着を確認したあと、フレット高にあわせてナット上部をカットしました。

9.ヘッド側の放物曲面を削りだしていきます。弦の接触面積とペグからの突入角度をイメージしながら削り出します。
10.ヘッド側の加工が終わりました。ナットらしくなってきました。

11.オリジナルサドルから弦溝ピッチを読みとっていきます。弦溝加工専用の定規を使っています。(低音弦になるほど弦溝間隔が広くなっています)
12.読みとった弦溝位置を新しいナットにマーキングしていきます。

13.弦溝専用のヤスリで掘っていきます。ヤスリの幅は弦ごとに違っており、使用する弦のゲージで決定します。
14.弦溝を掘り終えました。弦高調整前のナットです。

15.弦高調整を行います。5弦を調整します。2フレットを指で押さえて、1フレットと弦がぎりぎりまで近づくようにナット高を調整します。
16.ストリングリフターというジグで弦を待避しておきます。

17.弦溝専用ヤスリで少しずつ溝を深く掘っていきます。このときも弦とナットの接触イメージをしながら作業を進めます。
18.もう少し、というところで止めておきます。

19.ナットを溝に接着した後、最終調整してナットの完成です。

サドル作製

1. サドルスラブをサドル溝の幅に合わせて切り出します。こちらもVintageBone素材です。
2. サドル溝にぴったりとはまる厚みになりました。

3. ブリッジとサドルの密着性が、いい音になるもう一つのポイントです。
4. 一旦サドルを外し、イントネーターとチューナを取り付けます。

5. すべてのフレットについてピッチ確認を行います。ピッチがずれている場合はイントネーターのサドル山を移動して調整します。
6. 確認したサドル山位置と目標弦高を記録しておきます。

7. 目標弦高に合わせてサドルを切り出しました。
8. サドル山の位置を書き写します。

9.目標サドル位置に従ってオフセットサドルを削りだしていきます。
10.サドルの完成です。