ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

CatsEye

戻る
兵庫県西宮市にお住まいのY.H.さんからギター・リペアのご依頼を受けました。

受け取った際の弦高は4~4.5mmでした。また、トラスロッド調整のボルトもありません。さて、どういう風に弦高調整したものかと悩みました。

ギターのメーカ・年代・型番等は明確ではないのですが、ヘッドのインレイから、おそらく1970年代の東海楽器(キャッツアイ)または木曽鈴木のものと思われます。

そういう状況のギターでありますが、非常に上質な素材を使用しており、弦高の問題さえ解決できれば、必ず蘇ると確信しました。

お引き取りに来られたY.H.さんから、早速下記のメッセージを受け取りました。

Y.H.さん、ギターと一緒にハッピーになられて、私もハッピーです!ありがとうございました!

ずいぶんご苦労されてリペアしていただいたのだと思います。
おかげさまで、素晴らしい音色で鳴ってくれています。

帰宅してから2時間ぐらい弾いていますが、弦の響きや残響音がつややかですね。

弾いていて楽しく、かつ気持ちがいいです。
練習にも気合いが入りそうです。


ブリッジ割れリペア

1. ブリッジピンに沿って、クラックが入っているのが
2. ブリッジ周辺のトップ板を保護するために、マスキングテープを貼っていきます。

3. マスキング・テープを貼り終えました。
4. ブリッジ割れ部分に埋木を行います。写真はローズウッド素材を彫刻刀で薄く切り取り、埋木材料を作っているところです。

5. 左から、薄切りしたローズウッド素材、
6. タイトボンドとローズウッドの粉を混ぜ、着色タイトボンドを作ります。

7. 着色済みのタイトボンドをクラックを埋めるように
8. 一旦余分なボンドをふき取ります。

9. すかさずクラック部分に、先ほど削った埋木を
10. ブロックを作る前に、あらかじめ、ブリッジの大きさを計っておきます。(ブロックの一部素材を切り出すためです)

11. ブロックからトップ板を保護するために柔らかい布を
12. 先ほど、大きさを測っておいたブリッジと同じ大きさの部材を挟み込み、ブリッジと均等にテンションがかかるようにしておきます。

13. ブロックの下の方(ブリッジを挟むように)に、
14. 二つのクランプでブリッジ左右均等に圧力がかかるようにします。そしてこのまま放置すること一昼夜。

15. こちらがボンド乾燥後、ブロックをはずしたブリッジです。
16. 彫刻刀で余分な埋木を削っていきます。(ブリッジを削らないように・・・)

17. いろいろな彫刻刀を使用しますが、
18. 場面毎に平刀、丸刀など彫刻刀を持ち替え、また、刃の大きさも一番合ったものを使います。

19. 平面部の飛び出しは、ほぼ削れましたので、
20. 丸刀でブリッジピン穴方向の余分な埋木を削り落とします。

21. こちらがクラックリペア後のブリッジです。

ブリッジピン穴加工

1. 糸鋸の刃でブリッジピン穴に溝を彫り込んでいきます。
2.  その上から小型トリマを使って、弦溝を整形していきます。

3.  こちらがトリマ加工中のアップ写真です。
4. 加工終了したブリッジピン穴です。これで、低い弦高でもサドルにテンションを与えることができます。

ナット溝クリーニング

1. ナット溝の古い接着剤を取り除きます。
2. 良く切れる彫刻刀で、古い接着剤を削り落としていきます。

3. クリーニング終了後のナット溝です。

トラスロッド調整

1. このギターにはトラスロッドがないものと思っていました。
2. よーく見てみると、ブレイシングの裏にロッドが見えました。

3. そこでこのような治具を作成しました。これでロッド調整が自由にできるようになりました。

ナット作成

1. TUSQ素材とオリジナル・ナットです。
2. TUSQ素材を徐々に削りだし、オリジナルの形状に近づけていきます。

3. オリジナル・ナットと弦溝定規を使って、弦溝位置を

サドル作製

1. オリジナルサドルと粗削り出しを行ったTUSQ素材です。
2. サドル底面の平面を作っていきます。

3. 次にサドルの山を作っていきます。
4. 完成したTUSQサドル(上)とオリジナル・サドル(下)です。

5. リペア後のブリッジにTUSQサドルを装着しました。
6. 別角度から・・・ズームインしました。

弦高調整

1. 今回はこのツールを初めて使いました。名付けて
2. このようにナットの弦溝を少しずつ掘り下げるときに重宝します。