Martin D-28
戻る 岡山県にお住まいのH.M.さんからMartin D-28のリペアご依頼をいただき、ネック元起きなどの症状が見られるため、ネックリセットを含むトータル・リペアを行いました。当初、H.M.さんからギターを受け取り、リペアご提案をした際に下記のコメントをいただいておりました。
このギターは私の最初のギターであり、中高と父のガットギターで我慢してましたが、大学の進学が決まり両親からプレゼントされた物です。初めて弾いたとき『レコードと同じ音がする』と感激したものです。
それ以来アコースティックギターの基準音としてずっと弾いています。
今回オデッセイさんでリペアして頂き、更に輝いた音になって欲しいと思っています。
ギター工房オデッセイ
樋 口 様
本日はお世話になりました。
42年間使ってストレスの溜まったギターのリペアを引き受けて頂きありがとうございました。
出来上がったギターをそちらの工房でも試奏させて頂きましたが、自宅へ帰り何時ものコンディションで弾いてみると、ネックリセットによる適正な弦高で、新品の時より弾きやすくなっていました。自分のD-28がこんなに弾きやすくなるとは驚きました。
音は弦の振動を余すとこ無く伝える様になり、微妙なピッキングの表現もフォルテはより強く、ピアノはより繊細に演奏出来そうです。
またサステインも長くなり、何より倍音も増えて余韻を使ったフレーズも綺麗でやりやすくなっています。
ネックはフレットの端処理も丁寧でとてもスムーズです。
このギターはCF MARTIN と言うよりも HH MARTIN と言った方が合っていると思いますね。
TUSQの音に好感を持っていた私には、今回のリペアで樋口さんのDNA で再生されたD-28を弾いて、フォークソングが絶滅しないよう良い演奏を行って行きたいと思います。
今後も、リペアにLive演奏にご活躍される事を期待します。
今回はお世話になりました。
またギターの調子が悪くなった時はお願いします。
それでは失礼します。
H.M.
H.M.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。
リペア前のギターは典型的なネック元起き状態で、その度合いもかなり進行していましたので、非常に弦高が高く、演奏するにもかなり握力が必要だったんではないかと想像しました。
また音色に関しましては、厚手のカーテンの向こう側でD-28がなっているような、そんな印象を受けました。
リペア中、ネック取り付け角度を適切に調整する段階でかなり時間を費やしましたが、本来あるべき弦高を確保できる状態にすることができました。
ナット、サドルを作製し、弦を張ったときにギターから流れ出た音色は鈴なりの高音、明瞭な中音、重厚な低音、いつまでも響くサステイン、そして大きくアップされたボリューム、全ての項目で満足のいくものでした。
弾きやすい良い音の出るギター・・・それはプレーヤーにとって宝物なのでないかと思っています。
それが長い年月側に置いてあったものであれば、その想いは尚更です。
H.M.さんと私は同じ年代であり、同じような青春時代の時間を過ごして来たこともあり、お話しをさせていただくうちに人生の価値観なども似ているのではないかと感じました。
これからも癒やされる楽曲を人の心に響かせてください。
私も残された人生の時間をオーナー様が喜ばれるギターリペアに捧げていきたいと思っています。
この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。