ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

Paul Reed Smith Custom24

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兵庫県にお住まいのY.I.さんからPaul Reed Smith Custom24のリペアご依頼をいただき、フレットすりあわせとナット交換を行いました。Y.I.さんからは以前にYAMAKI YW30Mのリペアご依頼をいただいており、今回で2本目のギターリペアご依頼です。Y.I.さん、いつもありがとうございます。
リペア後のギターをお引き取りにお越しになり、ご帰宅後のY.I.さんからとても温かいメッセージが届きました。

昨日はお忙しい中、ありがとうございました。
さっそく本日STUDIOにて仕上げて頂いたPRS鳴らしました。

最初に結果➡︎素晴らしいの一言です!

元々生鳴りが良いguitarなのですが、職人樋口さんの真骨頂とでも言いましょうか(失礼に聞こえたらすいません、最大限のリスペクトです。)、サスティーンが半端ないですね〜。やはり伸びが全然違います。
ナットの形状もどうなるのか楽しみでしたが、作って頂いた放物線の意味が判った様な気がします。

アーミングも多用するのですが、狂いが少なくなった様な…

フレットも綺麗に調整して頂き感謝です。弾き心地は、買った時より良いです(笑)。

しかも安価な方法で行けると診断して頂き、つくづく良心的な最高の職人さんだなぁと、YAMAKIから偶然の出逢いに感謝しております。

これからも、ギターに関して困ったら宜しくお願い致します。永遠のアマチュアには、テックさんが居ないので、本当に親身になって頂ける樋口さんは神の様な存在です!

ありがとうございました!

Y.I.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

今回フレット交換、あるいはすりあわせのどちらを行うべきか悩みましたが、フレット高が十分残っていたことと、フレット交換が機構的にピックアップ部と干渉する可能性があること等からフレットすりあわせをご提案させていただいた次第です。

オリジナルフレットの高さは十分でしたが、形状的に上面部分はほぼ平らになっていて、弦の振動を減衰させる要因ともなっておりましたので、すりあわせを行うと同時にフレット山の形状も削り出させていただき、これがサステイン向上につながっていると感じています。

またナット形状はアコースティックギターで試行錯誤を重ねた結果を踏襲させていただき、こちらも音響特性の向上につながったと考えております。

いずれにしましても、リペア後のギターにご満足いただけて私もホッと安心すると同時に、今後のY.I.さんのギターライフの充実を心よりお祈りしております。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

フレットすりあわせ

1.マスキングテープでフィンガーボードを保護します。
2.ボディもアクリル板でカバーしました。

3.直定規を乗せて、フレット山が凹んでいる箇所にマークを入れます。
4.マークされた部分を中心にフラットファイルでサンディングします。

5.平らになったフレット山を専用のヤスリで丸くしていきます。
6.紙ヤスリ(#400)で粗研磨します。

7.さらにスチールウールで研磨を進めます。
8.最後はコンパウンドで磨き上げます。

9.プロテクタ類を外しましょう。
10.ピカピカのフレットになりました。

ナット交換

1. オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいてスライドして外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。