ギター工房オデッセイ

Odyssey Guitar Craft

HEADWAY MTO-18

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鳥取県にお住まいのM.S.さんからHEADWAY MTO-18のリペアご依頼をいただき、ブリッジ交換(新規作製)、ブリッジプレートリペアを含むトータルリペアを行いました。
リペア後のギターを受け取られて、とても温かいメッセージが届きました。

ギター受け取りました。
丁寧なリペアに感謝致します。
今後、他のギターもお世話になると思います。
その時は、またよろしくお願い致します。
この度は大変お世話になりました。
ありがとうございました。

M.S.さん、早速の暖かいメッセージをいただき、誠にありがとうございました。

リペア前のギターはチューニングを行うとブリッジピンが飛び出るくらい不安定でしたが、今回、ブリッジ周辺を中心にリペアを行わせていただき、弦を安定して固定することができるようになりました。
これからもM.S.さんの傍らでMTO-18が活躍することをお祈りしております。

この度は弊工房にリペアのご依頼をいただき、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げますとともに、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

ブリッジ交換(新規作製)

1.オリジナルブリッジです。
2.ブリッジピン穴径が拡張しており、弦のエンドポールを固定することが難しい状況です。

3.また弦高を下げるためにブリッジ上面を切削した跡が見られ、ブリッジ高が低くなっているので新しいブリッジと交換します。
4.ブリッジを取り外しましょう。これはラバーヒーターです。

5.当て木と一緒にクランプしました。
6.温度をモニタしながら徐々に温度を上げていき、接着面が緩むまで待ちます。

7.接着面にナイフを挿入していきます。
8.ブリッジが外れました。

ブリッジ取り外しの様子です。


別角度からです


9.接着面をクリーニングします。
10.エボニー・ブランクです。オリジナルブリッジを参考に新しいブリッジを削り出していきましょう。

11.外形を切り出しました。
12.ブリッジピン穴加工ジグを取り付けました。

13.ピン穴位置を確認しています。
14.ピン穴を開け終えました。

15.両サイドのスロープ加工を行いました。
16.インレイをオリジナルブリッジから移植します。

15.インレイを封入しました。
20.新しいブリッジの接着準備完了です。

21.接着面周囲をマスキングテープで保護しました。
22.湯煎したニカワを接着面に塗ります。

23.そっとブリッジを乗せます。
26.クランプで溢れたニカワを拭き取っていきます。

ブリッジ再接合の様子です。


別角度からです。


27.マスキングテープを剥がします。
28.このまま固着を待ちます。

29.固着後のブリッジです。
30.サドル溝を加工していきましょう。

31.サドル位置を書き写すためにマスキングテープを2重に貼ります。
32.サウンドホールにチューナー、ブリッジにイントネーターを取り付けます。

33.ピッチ調整を行い、イントネーターでサドル山位置を確認していきます。
34.サドル山位置をマスキングテープに書き込んでいきます。

35.サドル山位置を確定します。
36.弦高測定によって目標サドル高も記録しておきます

37.溝位置とサドル山ピーク位置を別々に記録しておきます。
38.サドル溝加工ジグを取り付けました。

39.トリマの位置決めを行っています。
40.サドル溝加工を行っています。

サドル溝加工を行っている様子です。


41.マスキングテープをはがします。
42.サドル溝加工を終えました。サドル作製工程へ移りましょう。

ブリッジプレート・リペア

1.ボディ内部ブリッジの裏側に取り付けられているブリッジプレートです。ブリッジピン穴移動のためプラグ埋木を行います。
2.ローズウッド材からブリッジプレート・リペアのためのプラグを切り出します。

埋木用プラグを切り出している様子です。


3.完全に切り離さず、ぎりぎりのところで固定させておきます。
4.プラグの中央に小穴を開けます。位置決めのためにポンチで凹みを入れています。

5.小穴があいたプラグです。まだ材に固定されています。
6.切り出し終えたプラグたちです。

7.プラグの裏側には木目がわかるように線を入れておきます。
8.このカッタージグを使用して、ブリッジプレートの凹み加工を行います。

9.ブリッジ表面のハンドルを回して、カッターを回転させ、ブリッジプレートの凹み加工を行います。
10.ボディ内でカッターはこのようにブリッジプレートと接触しています。

11.1弦の凹み加工を終えたブリッジプレートです。
12.同様にして3,5弦の凹み加工も行いました。

13.マスキングテープの粘着面を外側にしてプラグを半固定します。
14.タイトボンドをプラグにつけて、小ネジを中央の穴にねじ込みます(この小ネジも半固定状態です)。

15.半固定状態でプラグをそっとブリッジプレートの下に運んでいきます。
16.1,3,5弦のプラグ固定が終わりました。このとき木目方向を確認しておきます。

17.1,3,5弦のプラグ固着後、同じように2,4,6弦のプラグ接着を行います。
18.6弦すべてのプラグ接着を終えました。

19.固着したプラグにブリッジピン穴を開けます。プレート側に当て木を当てて一つずつ開けていきます。
20.クランプを避けるように長いドリルビットを使用します。

ブリッジピン穴を空けている様子です。


21.プラグにブリッジピン穴を開けました。
22.弦を張りました。エンドポールがプレートの上にしっかり固定されています。

ナット交換

1. オリジナルナットです。
2.当て木を当ててコンとたたいて外します。

ナット取り外しの様子です。


3. ナットを取り外したナット溝です。古い接着剤の跡が薄く残っています。
4.ナット溝のクリーニングを行います。古い接着剤と汚れを削り取っていきます。

5.クリーニング完了したナット溝です。
6.ネック幅に合わせてナットスラブを切り出します。

7.フラットファイルを使ってナットの平面を削り出します。
8.ナット溝にピッタリはまるようになりました。

9.1弦側からもナットの密着を確認します。
10.逆光を利用すると密着度の確認が効率的に行えます。

11.ナットのサイドもこの段階で面取り加工しておきます。
12.目視および指で触ってネック、フィンガーボードと段差のないことを確認しておきます。

13.フレットの高さに合わせてケガキ線を入れます。
14.ナット上部を切り取りました。

15.ヘッド側に放物曲面を削り込んでいきます。
16.ナットらしくなってきました。

17.目標の弦溝位置を読みとります。(1弦と6弦の位置で他の弦の位置が決まります)
18.弦溝位置を新しいナットに書き込みます。

19.弦溝を専用のヤスリで彫り込んでいきます。
20.弦高調整前のナットです。

21.弦を張って弦高調整を行います。2フレットを指で押さえて1フレットと弦の隙間がギリギリに下がるまでナット高を下げます。
22.ストリングリフターで弦を待避させて、ナット溝を徐々に下げていきます。

23.ナット高調整前の弦溝です。
24.弦高調整後のナット弦溝です。

25.他の弦も同じ要領で調整しました。弦高調整後のナットです。
26.ナットと弦の接触面積と角度を最適化することによってギターの音色は大きく変わります。

ピッチ調整~サドル作製

1.サウンドホールにチューナー、サドル位置にイントネーターを取り付けました。
2.すべてのフレットのピッチを確認していきます。ピッチがずれている場合は、イントネーターのサドルピーク位置を調整します。

3.サドル山位置を書き写していきます。
4.サドル溝に合わせてサドルスラブを切り出します。

5.サドルの底はフラットファイルで平面をつけていきます。
6.サドル溝にピッタリはまるように加工できました。

7.サドルの端も溝にピッタリはまっていることを確認します。
8.ピッチ調整時に確認したサドル高をサドルに書き込んでいきます。

9.サドル高の切り出しを終えました。
10.サドル高を切り出したサドル上部にピーク位置を書き写します。

11.サドルピーク位置を削りだしていきます。
12.ブリッジピン穴加工を行います。まず、糸鋸で弦の導出口をサドル側へ引き寄せます。

13.さらにミニルーターで弦の導出角度をつけていきます。
14.ブリッジピン穴加工を終えました。

15.サドルを取り付けました。
16.完成したブリッジとサドルです。